この記事では、5月7日に購入した SBIホールディングス[8473]による新規発行の円建て社債についてご紹介します。併せて、長期分散投資ポートフォリオにおける日本債券クラスへの投資スタンスを確認したいと思います。
SBIホールディングスによる新発円建て普通社債(SBI債)
SBIホールディングスにより新規発行される社債の概要は次のようになります。
5月7日昼の12時からSBI証券のホームページで申込受付が開始され、直ぐに購入をしました。期間2年の債券の利率(クーポン)が年率0.60%と、円建て普通社債としては魅力的なことから、割合直ぐに完売となったようです。
思い返してみると、2013年~2014年ごろのSBI債は期間1年の社債で年1.5%近くのクーポンでした。その当時は抽選申込で、当選しないと購入できない状態でした。日本銀行が2016年にマイナス金利政策を導入して以降、SBI債もクーポンが下がり、最近は抽選とまではいかない状況です。
それでも、ネット銀行の2年定期預金が金利年率0.02%などという状況下、0.60%の利率は魅力的です。銀行預金とはリスクが異なるので、一応、以下、住信SBIネット銀行の円定期預金を例として比較してみます。
SBI債(企業の普通社債)と銀行の円定期預金の比較
銀行預金との最大の違いは信用リスクです。銀行の円定期預金の場合、万一銀行が破綻したとしても、ふつうは元本1,000万円まで預金保険によりカバーされていて、全額保護されます。一方、企業の発行する普通社債の場合、発行企業が破綻した場合は元本が毀損してしまうリスク、すなわち元本を一部あるいは全額失うリスクがあります。
もうひとつのリスクは流動性リスクです。銀行の円定期預金を中途で解約する場合、当初設定の金利よりは低い中途解約利率が適用されますが、元本は全額返金されます。一方、企業の普通社債の場合、中途で売却しようとする場合、金利リスクが発生して買取価格は額面金額以下、すなわち投資金額以下となる可能性があります。(実際には、金利や信用力の水準が変わらなかったとしても、買取価格に手数料分が織り込まれて額面金額以下の価格となるケースもあります)
信用リスクについては、第三者の格付機関が発行企業の信用力を評価しているケースが多いです。SBI債では、R&I(格付投資情報センター)が発行企業のSBIホールディングスにBBB+格の格付を付与しています。
格付機関による格付は、通常上位からAAA格、AA格、A各、BBB格、BB格、B格の区分で、AA格以下はプラスとマイナスの区分が付けられます。資産運用を行う多くの企業や金融機関では、AAA格からBBB格までを投資適格と分類し、投資対象としています。
今回のSBI債については、次のような判断をして投資することにしました。
- 長期分散投資ポートフォリオの日本債券クラスとして、2年間の期間中に当債券を売却することになる可能性はほぼ無い。(理由については、日本債券クラスの投資スタンスをご参照ください)したがって、投資にあたっての流動性リスクはを全く問題にならず受け入れ可能。
- SBIホールディングスの好調な企業業績と、R&I(格付投資情報センター)のBBB+格を合わせて考えると、2年間というある程度短い期間の同社の信用リスクを取ることはでき、その対価としての年率0.60%のリターンは納得できる。
日本債券クラスの投資スタンス
金融緩和による低金利が続く日本ですが、特にマイナス金利政策が導入された2016年以降、2年国債で0.1%を下回る超低金利状態が続いています。そうした中で日本債券クラスへの投資は行わないという個人投資家も多いかもしれません。
20代、30代の若い世代では、債券クラスへの投資はゼロとして、より高リスク・好リターンの株式などに集中した資産運用を行う、というのもありと思います。
一方、ハッピーリタイアに向け長期投資を行っているアラフィフ世代としては、あくまで分散したポートフォリオ運用がよいと思っています。分散投資によるリスク低減効果によって、リスクを相応に抑えながら安定的にリターンが狙っていけるとの考えです。(参照記事:投資の考え方4-ポートフォリオ運用のアセットアロケーション)こうした考えのもと、日本債券クラスも投資ポートフォリオに組み入れています。
日本債券クラスとして現在の投資対象は、個別企業の発行する普通社債や信託銀行の取り扱う金銭信託商品です。これらへの投資の際は、流動性リスクは受け入れ可能としてほとんど気にしていません。
それは、ハッピーリタイアに向けた長期投資にあたり、運用ポートフォリオの外で円の待機資金を保持(個人向け国債などで待機)しているからです。将来市場が下落した際には、その資金でリスク資産を追加購入し、運用ポートフォリオに組み込むようにしています。そのため日本債券クラスの運用においては、流動性は問題となりません。
流動性リスクを気にしていないので、流動性がメリットである投資信託は投資対象としていません。超低金利の環境下では、低コスト投信であってもそのコストが効いていきて日本債券クラスの場合はほとんどリターンがでないからです。
こうしたことから、日本債券クラスとしては個別発行企業の信用リスクを可能な範囲でリスクテイクし、少しでもリターンを稼いでいくという姿勢をとっています。現状ポートフォリオ内には、7年ほど前の新規発行時に購入した高金利のソフトバンクグループの劣後債が残っていて、日本債券クラスの平均リターン向上に大きく貢献しています。今後1年程度でそれらが満期償還を迎えることから、今後どのような運用をはかっていくか検討が必要だと感じています。
(ご参考)ユーロMTNプログラムについて
今般の第41回SBI債は、正確にはSBIホールディングスによるユーロ・ミディアム・ターム・ノート・プログラム(「ユーロMTNプログラム」)に基づきユーロ市場で発行される円建ての外国債券になります。
少し難しそうにも聞こえますが、ユーロMTNプログラムというのは、社債を継続発行していきたい企業が、自由度高くタイムリーに繰り返し社債を発行できるように予め関係会社と仕組や書類を整えておくプログラムを指します。
今回の債券(以前発行されているSBI債なども同様)は、このプログラムに基づいて、クーポンや期間などの個別条件が決定され発行されたものになります。なお、記事中に記載のR&IによるBBB+格の格付は、実際にはこのユーロMTNプログラムに付与されたものになります。
また、ユーロ市場で発行される外国債券といっても、何ということはなく、通常どおり証券会社の口座にて購入できます。投資するにあたっては国内の債券を購入する場合と同じように証券会社へ購入申込を行えばよく、国内債券との違いといえば、新発債券の場合に発行日の翌日が購入日になることくらいです。
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