日本航空[9201]JALの株主優待券が到着-業績、配当金と株価推移の確認【2021年5月】

2021/05/15

株主優待 投資-日本株

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この記事では、旅行好きにはとっても人気、国内線が50%割引になる株主優待制度を採用している、日本航空[9201]の2021年5月到着の株主優待券についてご紹介します。日本航空は2010年に一度経営破綻し、その後の公的資金導入とリストラを経て2012年に再上場を果たした大手航空会社です。その歴史をかんたんに振り返り、このところの株価の推移、業績推移、配当金の推移を確認しておきたいと思います。

[9201]日本航空JALの株主優待

権利確定日が3月末、9月末(年2回)の株式優待銘柄です。

権利確定日3月末、9月末(年2回)
株主優待内容・保有株式数に応じて、JALグループ
 各社の国内線片道1区間の50%割引
 券の贈呈
 (長期保有株主に対する追加あり)

・ジャルパックツアー商品の7%割引券
 の贈呈

JALグループ各社の国内線片道1区間の50%割引券の贈呈枚数

保有株式数株主割引券
(3月基準日)
株主割引券
(9月基準日)
100株以上1枚-
200株以上1枚1枚
300株以上2枚1枚
400株以上2枚2枚
500株以上3枚2枚
600株以上3枚3枚
700株以上4枚3枚
800株以上4枚4枚
900株以上5枚4枚
1,000株以上5枚5枚
1,100株以上5枚
+1,000株超過分は500株毎に1枚
100,000株以上203枚
+100,000株超過分は1,000株毎に1枚

長期保有株主の追加分
3年(7基準日)連続で同一株主番号で保有の株主には、追加で下記枚数分の株主割引券が贈呈されます。

所有株式数株主割引券追加分
300株以上各7基準日目に1枚
1,000株以上各7基準日目に2枚
10,000株以上各7基準日目に3枚

株主割引券の有効期間

株主割引券
(3月基準日)
有効期間:6月1日~翌年11月末
(1年半)
株主割引券
(9月基準日)
有効期間:12月1日~翌々年5月末
(1年半)

今回の株主優待券の有効期限は2022年11月末です。

なお、2020年3月基準以前の株主割引券の有効期間は、今回のものより短い1年間でした。新型コロナウィルス感染拡大による影響を考慮し、2020年3月基準の株主割引券の有効期限は、もともと決められていた2021年5月末から2021年11月末へと期間延長がされています。

ジャルパックツアー割引券
100株保有の株主へ年1回(3月基準日のみ)、200株以上保有の株主へ年2回(3月と9月基準日)ジャルパックツアー商品の7%割引券(JMBツアーは5%割引券)が贈呈されます。

日本航空[9201]へ投資する場合、2021年5月14日の株価 2,255円を前提として、100株で225,500円になります。

2021年5月贈呈(2021年3月権利確定)の優待券
日本航空[9201]の株主優待券(2021年5月贈呈、2021年3月権利確定分)

[9201]日本航空の業績動向

日本航空の歴史

半官半民の会社としてスタートした日本航空は、戦後長らく日本のナショナル・フラッグキャリア(国を代表する航空会社)の座にありました。1980年代半ばに政府による航空行政が見直されるまでは、日本航空が主に国際線と国内幹線、全日本空輸(現在のANAホールディングス)が国内幹線とローカル線という体制がとられていました。(他に、国内ローカル線をメインにした東亜国内航空、後の日本エアシステムありました。同社は2006年に日本航空に吸収合併されています。)

規制緩和の流れの中で、日本航空は1987年に完全民営化されます。ところが、高止まりした人件費や採算意識の低い経営が続く中、2008年のリーマンショック、2009年の新型インフルエンザ流行の影響で国際線の旅客数が急減した影響などを受け、2010年1月に2兆3,200億円もの巨額負債を抱えて経営破綻してしまいます。長い間に身についてしまった官僚的な組織にも、破綻に至る原因の一端があったといわれています。

再生に向け、当時の企業再生支援機構から3,500億円の公的資金の注入が決まり、会社更生法の更生手続きが開始されました。その過程では、同社の債権者である金融機関、および株主に、大きな犠牲が求められました。巨額の負債を負っていた金融機関には総額5,000億円超の債権放棄(つまり、貸し出した融資の返済は無しとすること)、株主には100%の減資(つまり、株式は無価値とすること)が更生計画で決まったのです。

日本航空自身も痛みを分かちあい、国内外路線の30~40%の規模縮小や、30%近い平均給与の削減、企業年金の削減などをはじめとした大胆なリストラを実行しました。これらがうまくいき、早くも翌年には更生手続きを終了させることに成功しました。2012年9月には東証一部に再上場し、公的資金も全て返済しています。

2021年3月期の業績

2020年3月以降の新型コロナウィルス感染症拡大に伴い大幅減となった航空需要は、2020年中も、ほとんど回復しない状態が続きました。日本航空の2021年3月期の業績も大打撃を受け、売上収益は4,812億円と前期比マイナス65.3%となり、最終損益もマイナス2,866億円と再上場後初の純損失となりました。

日本航空の業績推移(売上高・利益)
日本航空[9201]の業績推移(売上高・利益)グラフ(2021年3月期まで)

※日本航空の決算資料よりブログ管理人作成
※※日本航空は今年度より国際会計基準IFRSを導入していて、2020年3月期、2021年3月期の売上、利益は、同基準のもとでの売上収益、利払前・税引前利益(EBIT)を示します。2019年3月以前の日本の会計基準の営業利益とは横並びでは比較できないことから、グラフでも一部色を変えて表示しています。

特に国際線需要は入国制限強化等により、大幅減の状態から全く回復していません。次の座席利用率のグラフ推移をみても、青線の国際線利用率が2020年3月以降、全く回復していないことが分かります。一方、国内線はGo To トラベル事業による需要喚起や、緊急事態宣言解除にともなう需要の回復などにより、不安定ながらも回復の兆しが見えます。日本航空の決算説明資料の中でも、国内線は第三波影響により落ち込みがあるものの、一定の基礎需要は確保しているとしています。

日本航空の有償座席利用率(2019年4月~2021年3月)
日本航空[9201]の有償座席利用率グラフ(2021年3月まで)
※日本航空の決算資料よりブログ管理人作成

流動性キャッシュの枯渇による約10年前の経営破綻の経験がある日本航空は、今回はしっかりと流動性への対応を図っているようです。前年度より約6%低下したとはいえ、自己資本9,474億円により自己資本比率は45%を確保しています。また、有利子負債が5,151億円、うち1年以内返済額が696億円あるのに対し、現金及び預金を4,083億円、加えて手元流動性としての金融機関からのコミットメントライン(必要なときに金融機関から現金を引き出すことが可能となる契約)で 3,000億円を確保しています。

[9201]日本航空の配当実績

日本航空の配当実績・一株当たり利益・期末配当利回り
年度一株当たり
利益(円)
配当金
(年間・円)
期末配当
利回り
2017年3月期456.56942.67%
2018年3月期383.231102.57%
2019年3月期432.101102.82%
2020年3月期140.04552.76%
2021年3月期-764.9900.00%
※日本航空の決算資料よりブログ管理人作成

前年度下期に続き、2021年3月期も無配が継続しています。

[9201]日本航空の株価推移

日本航空[9201]の株価推移(週足:過去5年)

日本航空[9201]とNEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信[1306]の株価推移(2020年1月~)

新型コロナウィルス感染症による影響が受ける前の2020年初からの株価推移をTOPIX連動型ETFと比較してみると、TOPIXが約10%の上昇となっている一方で、日本航空はまだマイナス34%に沈んでいます。

[9201]日本航空の投資指標と今後の運用方針

2021年5月14日の株価 2,255円による投資指標
一株当たり
利益(EPS)予想(円)
未定
年間配当金 予想(円)未定
予想PER(倍)-
実績PBR(倍)1.04倍
ROE 予想-
配当利回り予想-

2022年3月期の業績予想について、日本航空は、「新型コロナウィルス感染拡大の影響から主に国際旅客需要の回復を合理的に見積もることが困難なため、未定とする」としています。

今後の方針

現状の企業業績はたいへん厳しい状況ではあるものの、手元流動性は十分にあり、新型コロナウィルス感染拡大の影響が続いたとしても、経営が傾く可能性は当面小さいと感じています。新型コロナウィルスによる影響が今後徐々に薄れていくにつれ、企業による出張需要は従来水準までは戻らないことはあっても、個人の旅行需要は、押さえられていた反動で大きく盛り上がっていく可能性が高いのではないかと想像します。

新型コロナのワクチン接種が進んでいる米国では、既に国内の航空需要はかなり回復しているとの話も伝わってきます。個人投資家としては、長い目線での投資が可能であることから、今後も長期目線で継続保有していく方針です。

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自己紹介

週に1~2日の働く、セミリタイア状態の50代男性です。

これまで国内外の株式、債券、ETF、投資信託、先物、FX、不動産など投資歴25年。2000年ITバブルで資産半減、その後2008年リーマンショックの大打撃も経験しました。

20代、30代のころにがむしゃらに働き、地道に資産運用を続けてきたおかげで、資産形成はある程度進みました。

今後の充実した完全リタイアライフに向け、長期目線で分散ポートフォリオ運用を継続中です。

投資スタンスについてはこちらをご覧ください。

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