本日2021年9月13日に申込が始まった、ソフトバンクグループ[9984]による新規発行の劣後債を早速購入しました。劣後特約の特徴や信用格付など社債の概要、および社債発行の背景についてまとめておきたいと思います。
(参考)2022年2月発行予定の新発劣後債(第5回債)については
こちらの記事をご覧ください。
ソフトバンクグループによる個人向け劣後債
ソフトバンクグループにより発行される劣後特約付の社債の概要は次のようになります。
銘柄 | ソフトバンクグループ 第3回無担保社債(劣後特約付) |
発行体 | ソフトバンクグループ |
発行総額 | 4,500億円 |
債券格付 | BBB+(JCR) |
期間 | 7年 |
償還期限 | 2028年9月29日 |
利率(クーポン) | 年 2.40% |
利払日 | 年2回(3/30、9/30) |
額面(申込単位) | 100万円 |
発行価格 | 額面金額の100% |
償還価格 | 額面金額の100% |
申込期間 | 2021年9月13日から 2021年9月29日
|
発行日 | 2021年9月30日 |
劣後特約について
クーポンが年2.4%と比較的高いのは、劣後特約付きの劣後債だからです。
劣後債は一般の普通社債(シニア債)よりも元利金の支払順位が低い債券になります。
発行会社の清算・破産・会社更生・民事再生などが発生した際に、一般債務の元利金が全て支払われた後に初めて劣後債の元利金が返済されます。したがって、一般の普通社債(シニア債)よりもリスクが高いことになり、その分クーポンも相対的に高く設定されています。
ソフトバンクグループ発行の劣後債の信用格付について
債券は通常何も問題が無い場合、満期まで保有してれば投資元本が100%償還されます。しかし、企業の発行する社債については、発行体の経営や財務状況の変化によって投資元本が毀損してしまうリスクがあります。劣後債の場合は、この信用リスクが一般の普通社債よりも高いといえます。
投資における信用リスク評価については、第三者の格付機関による信用格付を参考にするケースが多いです。今回のソフトバンクグループの劣後債には、格付機関のJCR(日本格付研究所)がBBB+格の債券格付を付与しています。
JCRは、債券の発行体であるソフトバンクグループについて、A-格の発行体格付を付与しています。劣後債であることから、上で述べた劣後特約により通常の発行体格付けに比べて一段階低い格付となっていることが分かります。
因みに、米国の格付期間であるS&P(S&Pグローバル・レーティング)によるソフトバンクグループの発行体格付はBB+格です。資産運用を行う多くの企業や金融機関が投資適格とみなす格付であるBBB格を、現時点ではギリギリ下回っていることには目を向けておいても良いかもしれません。企業や債券に付与される格付については、日米の格付機関によって多くの場合この程度の差が存在します。
ソフトバンクグループによる劣後債発行の背景
本債券は総額4,500億円の個人向け社債ですが、これと合わせて、機関投資家向けに500億円が発行され、今回は期間7年合計5,000億円の社債発行となります。
ソフトバンクグループは2014年12月と2015年2月に同じように期間7年の個人向け劣後債を発行しています。今回の調達資金はこれらの償還資金に主に充てられるようです。当時の劣後債クーポンは2.5%でしたが、今回はそれより少し低い2.4%となりました。
ソフトバンクグループは2021年2月と6月にも国内ハイブリッド債を発行しています。期初時点で2021年度に償還期限を迎える社債が1兆円以上あり、その償還資金手当てのために発行ラッシュになっているようです。
(ご参考)2021年6月に発行されたハイブリッド債について
ハイブリッド債は、利息繰延条項や期限前償還条項付劣後条項などが付いていることで、債券ではあるものの、株式など資本に類似した特徴を持っています。元利払いに問題がありそうな場合に、発行体によって利息が任意に繰延べされたり、5年などの期間で早期償還されずに超長期の償還期限となってしまうなどのリスクがあることに注意が必要です。
このため、ハイブリッド債は、通常の劣後債よりも弁済順位が低いことになり、その分クーポンが少し高めに設定されます。6月に発行されたハイブリッド債のクーポンは2.75%と今回の劣後債の2.4%より高めとなっています。
ソフトバンクグループ劣後債への投信判断について
今回のソフトバンクグループ劣後債については、次のように考え投資することにしました。
- 長期分散投資ポートフォリオの日本債券クラスとして、年2.4%のクーポンは極めて魅力的。
- 7年前2014年12月発行のソフトバンクグループの第1回劣後債に投資をしていて、それが12月に償還を迎える。ポートフォリオから年2.5%クーポンの債券が無くなるのは痛いので、その代替投資としてちょうどよい。
- レバレッジのかかったビジネスを展開しているソフトバンクグループの社債、しかも劣後債への投資は怖い部分もあり。ただ、ソフトバンクグループの戦略には共感できる部分も多く、孫正義氏の手腕にも信頼感はある。
- ポートフォリオ全体として信用リスクに対応するために、前回投資と同様に、日本債券クラスの中でも分散を効かせた一部の金額に留めた投資とする。
- 長期分散投資ポートフォリオの日本債券クラスとして、7年間の期間中に当債券を売却することになる可能性はほぼ無い。したがって、投資にあたっての流動性リスクは全く問題にならず受け入れ可能。
- 米国格付機関ではなく日本のJCR(日本格付研究所)からではあるが、BBB+格の投資適格債券格付を取得している。7年前に投資した際よりは、企業業績についても安心感がある。
本日、債券購入の申込が遅れ夕方の時間となってしまい、何とSBI証券では既に売り切れでした。SBI証券の引受額は300億円だったので、引受額がより多いSMBC日興証券のネット経由で無事に購入できました。
なお、ハッピーリタイアに向けた長期分散ポートフォリオ投資における日本債券クラスへの投資スタンスについては、こちらの記事で触れていますのでご参照ください。
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