2023年3月期は2008年3月期以来となる過去最高の売上高を達成し、営業利益は二期連続、当期純利益は三期連続の最高益を達成した富士フイルムホールディングス[4901]から、2023年3月基準の株主優待商品、アスタリフト化粧品が届きました。抜群の決算を踏まえ、配当金も13年連続増配となっています。
ただ、とても残念なことに、富士フイルムホールディングスは株主優待制度の変更を今年5月に発表しています。家族も毎年楽しみにしていた「富士フイルム ヘルスケア商品 プレゼント」は廃止され、今回分が最後になります。2023年12月に発送予定の「富士フイルム フォトブック等プリントサービス 利用クーポン券」を最後に株主優待プレゼントは廃止され、株主優待制度としてはヘルスケア商品の優待価格販売のみになる予定です。
富士フイルムホールディングスの優待プレゼント廃止は、当然ながら企業業績悪化が要因ではなく、株主への公平な利益還元の観点から、今後は配当による直接的な利益還元に集約したいとの考えによります。
業績絶好調の富士フイルムホールディングス[4901]へ投資は、今後も継続していきたいと考えています。この記事では、その業績動向、株価の推移、配当金実績を確認しておきます。
商品プレゼントが廃止となる[4901]富士フイルムホールディングスの株主優待
権利確定日が3月末、9月末(年2回)の株式優待銘柄です。
これまでは下記の(1)のヘルスケア商品優待割引販売に加え、(2)の商品プレゼントが株主優待の内容でした。今回6月のヘルスケア商品プレゼント、および、今年12月のフォトブック等プリントサービス利用クーポンの贈呈を最後に(2)は廃止となり、来年からは、(1)のヘルスケア商品割引販売のみとなります。
これまでは下記の(1)のヘルスケア商品優待割引販売に加え、(2)の商品プレゼントが株主優待の内容でした。今回6月のヘルスケア商品プレゼント、および、今年12月のフォトブック等プリントサービス利用クーポンの贈呈を最後に(2)は廃止となり、来年からは、(1)のヘルスケア商品割引販売のみとなります。
株式保有期間と保有株式数により贈呈される株主優待品
富士フイルムホールディングスの株主優待制度は、グループ事業のより一層の理解を図る目的で2012年に導入されました。当時は、写真プリントで培われた技術を応用したヘルスケア商品の売上高割合が企業全体の15%程と、現在の半分以下の割合でした。
機能性化粧品や医療分野で拡大を図ってた時期に株主優待制度を導入し、商品プレゼントを進めたことで、そうした分野での認知度や存在感を高める効果は相応にあったと思われます。今回の商品プレゼント廃止は、ヘルスケア分野等での存在感も高まったことから、株主優待制度の当初の役割は十分達成されたとの判断によるのかも知れません。
富士フイルムホールディングスは2023年5月10日の公表資料において、「株主様への公平な利益還元の在り方という観点から慎重に検討を重ねました結果、今後は業績に応じ、配当による直接的な利益還元に集約することがより適切であるとの判断に至り、株主優待制度を一部変更」としています。
2023年夏 贈呈(2023年3月権利確定)の優待商品
(富士フイルムヘルスケア商品の最後のプレゼント)
(500株以上3年以上保有者向け)セットE(化粧品コース)の優待プレゼント商品です。同社の一押しの商品である「アスタリフト ホワイト ジュエリー アクアリスタ」は昨年と同じです。他は、毎年異なる商品がプレゼントされています。
2022年夏 贈呈(2022年3月権利確定)の500株以上3年以上保有者向けのプレゼント商品は次のものでした。
[4901]富士フイルムホールディングスの事業概要・業績動向
富士フイルムホールディングスは、もともとのフイルムビジネスの縮小を見込み早くから多角化を進めてきました。フイルム製造の技術を生かしながら、M&A(企業の合併・吸収)を活用した多角化に成功し、現在は以下の4つの部門で事業展開しています。
富士フイルムホールディングスの事業分野
各事業の売上高割合は次のようになっています。
2022年3月期には、医療機器やバイオ医薬品の製造開発受託などを含むヘルスケア部門が、ビジネスイノベーション部門を抜いて初めて売上高・営業利益ともに最大の事業部門となりました。日立製作所の画像診断関連事業を承継したグループ会社「富士フイルムヘルスケア」が大きく貢献しています。
どの事業部門も強みを発揮して収益を稼げるのが同社の強みといえます。2023年3月期の売上高も、4事業部門がいずれも前年比10%以上の増収となっています。いずれの部門の営業利益も全体の2割を超えていて、会社としてバランスがとれいてるのも同社の特徴です。海外売上比率も高く、2023年3月期は、米州をはじめとして欧州やアジアその他の地域など日本以外の海外での売上高が全体の64%を超えました。
富士フイルムホールディングスの2023年3月期の売上高は前期比13.2%増の2兆8,590億円となりました。営業利益も前期比18.9%増の2,731億円と、前期に続き過去最高を更新しました。
エネルギー価格の高騰や部材の需給ひっ迫など厳しい外部環境のなか、INSTAX”チェキ”などインスタントフォトシステムや「Xシリーズ」デジタルカメラの販売が好調に推移したイメージング部門や、オフィス向けデジタル複合機や企業向けDX支援が収益に貢献したビジネスイノベーション部門が全体を引っ張りました。
会社は2024年3月期について、いずれの部門も前期比プラスの売上高を想定し、会社全体で売上高3.2%増の2兆9,500億円、営業利益6.2%の2,900億円と予想しています。
[4901]富士フイルムホールディングスの配当実績
[4901]富士フイルムホールディングスの株価推移
富士フイルムホールディングス[4901]の株価推移(過去5年:週足)
富士フイルムホールディングスの株価は、ヘルスケア部門の伸びなどを受け、2016年半ば以降、緩やかな上昇傾向にありました。株価は、新型コロナウィルス感染症の影響が拡大した2020年は停滞していたものの、2021年に入ると急上昇しました。インフルエンザウィルス薬「アビガン」に対する新型コロナウィルス治療薬としのて期待などを受け、株価は2021年9月16日に上場来高値の10,055円をつけました。
富士フイルムホールディングスの株価は、ヘルスケア部門の伸びなどを受け、2016年半ば以降、緩やかな上昇傾向にありました。株価は、新型コロナウィルス感染症の影響が拡大した2020年は停滞していたものの、2021年に入ると急上昇しました。インフルエンザウィルス薬「アビガン」に対する新型コロナウィルス治療薬としのて期待などを受け、株価は2021年9月16日に上場来高値の10,055円をつけました。
しかしその後、2021年12月の厚生労働省の審議会で「アビガン」の治験が明確な有効性を示せていないと判断され継続審議となり、株価は下落基調に転じました。2022年3月には6,500円台まで下落、その後も揉み合いながらも下落基調となり、2023年3月には6,200円台まで下げました。
2023年5月に入って2023年3月期の好調な決算が伝わると、株価は反転上昇し一気に8,000円台を回復しました。一時8,800円台をつけた後、現在8,000円台前半まで値を下げています。
[9861]富士フイルムホールディングスの投資指標と今後の運用方針
2023年7月18日の株価 8,219円による投資指標
※富士フイルムホールディングスの決算資料よりブログ管理人作成
富士フイルムホールディングスは、これまで一株当たり利益(EPS)を着実に伸ばしてきていて、それに伴って年間配当金も13期連続の増配となっています。来期もEPSの増大を想定、14期連続となる増配を予想しています。
配当性向は20%台とこれまでも安定して低く、稼いだ分相応の無理のない配当をしているといえ、配当に関しては相当に安心感があります。現在の1.8%程度の配当利回りは物足りないですが、配当性向の水準からみると、ある意味、さらなる増配余地もあるような状態といえます。
予想株価収益率(PER)は現在14.6倍であり、今年5月気候の株価上昇に入ってからの株価上昇を受けても、過去の平均的な水準です。株価純資産倍率(PBR)も1.2倍と過去の平均的水準と大きくは変わらず、PERやPBRの面からは現在の株価に割高感はありません。
富士フイルムホールディングスは経営効率を高め、売上高営業利益率は着実に向上し10%目前まで高まってきています。自己資本利益率(ROE)も上昇傾向にあり、8%水準まで伸びてきました。純資産利益率(ROA)も上昇トレンドにあり、好感がもてるような水準まできました。
今後の方針
もともとの会社の強みを生かしながら多方面へバランスよく事業展開しいるビジネスモデルが、富士フイルムホールディングスの大きな強みだといえます。海外売上高比率が高く為替レートの変動の影響をうける可能性があるものの、グローバル展開によって、規模の大きな市場へのアクセスを確保していることは同社の魅力と感じています。
事業拡大を続けているヘルスケア部門や、電子材料事業拡大の恩恵を受けるマテリアルズ部門は、今後も好調をキープすると期待されます。インスタントフォトシステムやデジタルカメラ販売が好調のイメージング事業も楽しみなところです。
配当利回り的には投資妙味はあるとはいえず、また、株価指標的にも割安感はありません。株主優待も改悪され、商品プレゼントが廃止されてしまいましたが、現在発表されている増配ではその廃止分をカバーできていません。
とはいっても、ふだんから富士フイルムの化粧品などを利用している場合には、グループ会社ヘルスケア商品優待割引販売(30%割引)は大きなメリットとなります。投資指標的にも株価に割高感はなく、引き続き、ポートフォリオの上位保有銘柄として投資継続したいと考えます。
<ご注意>
当サイトに記載の内容は、あくまで、管理人の個人的な見解に基づくもので、何ら特定の投資運用方針を推奨するものではありません。記載内容については、細心の注意を払い各種の公表資料等から作成していおりますが、掲載内容の適時性、正確性、有用性等に関して一切保証するものではありません。投資にあたり、万が一損害を受けたとしても一切責任は負えません。投資はあくまで自己責任でお願いします。
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