2022年4月末、グローバル投資市場と主な資産クラスの動向確認-円安もあり、年初からの下げを取り戻す反発

2022/05/01

投資-市場動向

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ロシアによるウクライナ侵攻を受けた主要国の経済制裁によって、世界的に大幅なインフレが進んでいます。インフレ対応としての米国の大幅な金融引き締め、さらに、中国におけるゼロコロナ政策失敗の懸念の高まりも重なり、2022年4月の金融市場は下落基調を強めました。

(ご参考)中国のゼロコロナ政策失敗については、政治学者のイアン・ブレマー氏が「2022年のトップ・リスク」として年初に注意を促しています。こちらの記事をご参照ください。

3月末には年初来マイナス5%程度の水準まで戻していたS&P500指数ですが、4月はほぼ一本調子の下落となりました。パウエル米連邦準備理事会(FRB)による急速な利上げ姿勢が明白となると、4月末に向けて更に下落を強め、年初来マイナス13%の水準で終えました。

米国金利の上昇を受け、為替市場では3月に続いて大幅に円安が進みました。米ドル円為替レートは4月中に8円以上の円安が進み、129円台となっています。円安効果により、先進国株式や先進国REITなど海外資産クラスは、円ベースでは水準が底上げされています。

ここでは、運用における主な資産クラスのパフォーマンスとグローバル金融市場の動向を確認しておきたいと思います。

主な資産クラスのパフォーマンス状況

これまでと同様に、代表的な低コスト・インデックス投信であるeMAXIS Slimシリーズ(三菱UFJ国際投信株式会社)の価格動向を用い、各資産クラスのパフォーマンスを確認します。

以下、eMAXIS Slimシリーズにおける主要資産クラスの投資信託について、2022年4月のパフォーマンスを表示しています。

主要な資産クラスの2022年4月実績
主要な資産クラスの月間パフォーマンス(2022年4月)
※新興国債券クラスのみ、eMAXIS Slimeシリーズは存在しないため、eMAXIS新興国債券インデックスを用いています。対象として用いたemaxisシリーズについては、過去の記事をご参照ください。(参照記事:投資の考え方3-ポートフォリオ運用の資産クラス

続いて、各資産クラスの2021年初から過去2年間の動向を見てみます。
主要な資産クラスのパフォーマンス推移グラフ(2021年初~2022年4月)

2022年初来の動きをクローズアップしてみます。
主要な資産クラスのパフォーマンス推移グラフ(2022年1月~4月)
前年から続くインフレ懸念の高まりに、ウクライナ情勢の悪化も重なり、各資産クラスは2022年はじめから調整を見せていました。

3月中旬のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長による米国経済への強気発言や、ウクライナ情勢の懸念が一時和らいだことによって、その後4月上旬までは反転上昇しています。

しかし、4月下旬になると、米国の利上げが想定よりも急速に進む見通しが広がったことや、新型コロナウィルス拡大による中国経済の急減速懸念などによって、各国市場は急落しました。海外REITクラス以外、年初来マイナス圏に沈むこととなりました。

グローバル投資市場の主要指数の確認

続いて、主要な指数の現状確認をしておきます。

株式市場
指数2022年
4月末
変化
(月間)
変化
(年初来)
S&P 5004,131.93-8.8%-13.3%
Nasdaq12,334.64-13.3%-21.2%
東証TOPIX1,899.62-2.4%-4.7%
ドイツ DAX14,097.88-2.2%-11.2%
英国 FTSE1007,544.550.4%2.2%
香港ハンセン21,089.39-4.4%-9.9%
上海株価指数3,047.06-6.3%-16.3%

為替・金利市場
指標2022年
4月末
変化
(月間)
変化
(年初来)
米ドル円 為替レート129.858.19円14.77円
ユーロ円 為替レート136.852.2円6.03円
英ポンド円為替レート163.263.43円7.57円
豪ドル円 為替レート91.700.68円8.15円
ドルインデックス102.964.607.37
米国10年国債金利2.94%0.59%1.43%
日本10年国債金利0.22%0.00%0.15%

商品先物市場
商品先物2022年
4月末
変化
(月間)
変化
(年初来)
WTI原油 (ドル/バレル)104.243.9%38.6%
(ドル/トロイオンス)1,911.70-1.9%4.5%
(ドル/トン)9,770-5.8%0.5%

  • 米国株式市場は急落、S&P500はマイナス8%、Nasdaqはマイナス13%
    世界的なインフレ懸念の高まりやウクライナ情勢の不透明から、4月に入り株式市場は軟調推移が続いていました。さらに、パウエル米連邦準備理事会(FRB)による急速な利上げ姿勢が明白となると、4月下旬にかけて株式市場は急落しました。

    中国における新型コロナウィルス感染症の封じ込めがうまくいかないとの懸念が高まったことも、市場のリスク回避姿勢に勢いを与えています。ウクライナ情勢を受けた欧州経済の減速が嫌気される状況で、ロックダウン長期化による中国経済の急減速は、世界景気に大きな悪影響を与える恐れがあります。

    S&P500株価指数は月間でマイナス8.8%、年初来ではマイナス13.3%で終えました。金利上昇を受けてハイテク株はさらに大きく下落しています。Nasdaq総合指数は月間でマイナス13.3%、年初来マイナス21.2%の急落となっています。

  • 日本株式市場はマイナス2.4%と米国株に比べ軽傷
    大幅な金利上昇を受け、米国市場でハイテク株が大きく売られる中、日本株式市場も上値が重い展開が続きました。ただ、昨年秋以降、世界を先取りして下げていたこともあり、日本株は相対的には小さな下落で済んでいます。


  • 為替市場は一時1ドル131円台まで大幅な円安進行
    米連邦準備理事会(FRB)が金融引締め姿勢を示す一方で、日本銀行は金融緩和姿勢を崩していません。米長期金利の上昇によって日米金利差が拡大し、円安が加速しています。米ドル円為替レートは年初から15円以上円安水準となる131円台を一時つけ、129円台で終えました。

  • 原油市場は揉み合い、104ドル台で終える
    3月中に一時130ドルをつけたWTI原油先物価格は、4月を通じて揉み合いの展開となりました。中国における新型コロナウィルス感染症拡大を受け、中国および世界景気の減速が広がり100ドルを割り込む場面もありましたが、供給に対する懸念も根強く、結局104ドル台で終えています。

なお、4月の長期分散投資ポートフォリオの運用実績についてはこちらの記事をご覧ください。

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自己紹介

週に1~2日の働く、セミリタイア状態の50代男性です。

これまで国内外の株式、債券、ETF、投資信託、先物、FX、不動産など投資歴25年。2000年ITバブルで資産半減、その後2008年リーマンショックの大打撃も経験しました。

20代、30代のころにがむしゃらに働き、地道に資産運用を続けてきたおかげで、資産形成はある程度進みました。

今後の充実した完全リタイアライフに向け、長期目線で分散ポートフォリオ運用を継続中です。

投資スタンスについてはこちらをご覧ください。

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