吉野家ホールディングス[2590]から株主優待券が届きました。100株保有の株主にとっては1回あたり2,000円分の優待券配布となり、従来の3,000円から減額です。食事券1枚の額面が300円から500円へ変更されるのに合わせ、配布枚数が見直されました。
この記事では、今回から変更となった優待内容をご紹介し、あわせて、業績動向、株価の推移、配当金実績も確認しておきます。
[9861]吉野家ホールディングスの株主優待
2022年2月基準の優待より、食事券1枚の額面が300円から500円へと変更となりました。
保有株式数による贈呈枚数も変更されています。
1,000株以上、2,000株以上保有の株主にとっては、贈呈される食事券の枚数は変更となるものの、総額は従来と変わりません。100株保有の株主にとっては、従来3,000円(300円の食事券10枚)の贈呈だったところ、今回より総額2,000円への減額となります。
今回、200株以上保有の株主区分が新設されました。下でみるように、実はここがおいしい区分になっています。
2022年5月贈呈(2022年2月権利確定)の優待券
今回贈呈の株主優待券の期限は2023年5月31日、全国の吉野家とはなまるうどんの店舗で利用できます。(一部店舗除く)吉野家ホールディングスの優待利回り
2022年5月6日の株価2,380円で計算すると、吉野家ホールディングスへ100株投資するのに238,000円必要です。優待券の価値を額面どおりで考えると、100株保有で年間4,000円分の食事券をもらえますので、優待利回りは1.68%(4,000÷238,000)となります。従来であれば年間6,000円分の食事券がもらえ、2.52%の優待利回りであったといえます。優待利回りがかなり下がり、残念なところです。
一方、従来は200株保有の場合も100株と同じ優待内容であり、200株保有による優待利回は悪くなる状況でした。ところが、今回の制度変更により、年間10,000円分の食事券がもらえる200株保有の場合、優待利回りは2.10%(10,000÷476,000)となります。
実は、優待利回り的には、200株保有が一番お得になることが分かります。
なお、吉野家ホールディングスのこれまでの株主優待制度等については、こちらの記事をご覧ください。
[9861]吉野家ホールディングスの事業内容・業績動向
吉野家ホールディングスは、その名のとおり国内外における牛丼の「吉野家」のほか、讃岐うどんチェーンの「はなまる」を展開しています。売上の7割を国内吉野家が、残りをはなまると海外店が約15%ずつあげています。(下記、円グラフご参照)
過去には、子会社アークミールで「ステーキハウス フォルクス」や「ステーキのどん」を展開、子会社の京樽で寿司チェーンを展開していました。成長分野へのリソース配分を進める目的で、2020年2月にアークミールを安楽亭[7562]に売却。そして、2021年4月に京樽をスシローのFOOD&LIFE COMPANIES[3563]へ譲渡し、現在の姿になっています。
2022年2月期の売上高は1,536億円と前期比マイナス9.8%の減収となりました。しかし、これは京樽を連結範囲から外したことが影響しています。京樽の影響をを除いては、前期に対して増収となっています。
前期における大規模な営業時間短縮や店舗休業からの反動に加え、国内店舗におけるテイクアウト、デリバリー需要の伸びや、米国の好調な売上に支えられました。
吉野家では、テイクアウト、デリバリー需要獲得に加え、「牛焼肉丼」や「牛皿麦とろ丼」、さらに冬の定番「牛すき鍋膳」などの高付加価値牛肉商品の販売により客単価向上に成功しています。原材料高騰に対して主力商品の料金改定も行っています。
次のグラフは、吉野家の既存店の月次売上・客数・客単価の推移です。各数値は、コロナ前の2019年の同月の数値を100%とし、それに対してどの程度の水準であったかを毎月表しています。例えば、2020年1月の売上(青線)の値は110%ですが、この月の売上が2019年1月売上より10%高かったことを示しています。
吉野家 既存店の売上・客数・客単価 推移(2019年同月対比)
(2020年1月~2022年4月)
※吉野家ホールディングスの決算資料よりブログ管理人作成(2020年1月~2022年4月)
グラフの客単価推移(グレー線)をみると、特に2021年に入ってから、客単価が2019年同月比で大きく伸びてきていることが分かります。客数(オレンジ線)はコロナ前水準を回復していないものの、客単価向上に成功し、売上(青線)はコロナ前の2019年水準を取り戻しつつある様子が見てとれます。
会社は2023年2月期について、売上がコロナ前の2020年2月期の水準のまで回復し、1,680億円になる見込んでいます。一方、昨今の原材料価格の高騰やエネルギーコストの上昇などにより、営業利益は2020年2月期水準を下回り、34億円と予想しています。
[9861]吉野家ホールディングスの配当実績
[9861]吉野家ホールディングスの株価推移
吉野家ホールディングス[9861]の株価推移(過去5年)
2020年に入ると新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受け、その前年につけた3,000円付近から、1,700円付近まで株価は一気に下落しました。その後は上下動を繰り返しながら、緩やかな回復傾向のあるといえます。
2020年に入ると新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受け、その前年につけた3,000円付近から、1,700円付近まで株価は一気に下落しました。その後は上下動を繰り返しながら、緩やかな回復傾向のあるといえます。
[9861]吉野家ホールディングスの投資指標と今後の運用方針
2022年5月6日の株価 2,380円による投資指標
※吉野家ホールディングスの決算資料よりブログ管理人作成
新型コロナウィルス感染症拡大の影響を大きく受けた前期は無配となりましたが、2022年2月期は配当金10円に復配しています。2023年2月期について、会社は売上高のさらなる回復を予想していますが、原材料価格やエネルギー価格の高騰などコスト増要因も多いことから、予想配当金は横ばいの10円としています。
2022年2月末時点の株価でみると、株価収益率(PER)は20倍をやや下回った水準でした。2023年2月期はコスト増要因により、一株当たり利益(EPS)が大きく低下すると予想されています。これを基した予想PERは約44倍となり、外食セクターとはいえ高めなのが気になります。
コスト削減などの効果の浸透により、原材料高や物流コストの上昇などにより利益率は改善してきてます。売上高営業利益率は2%、自己資本利益率(ROE)は7%ほどを見込んでいます。
今後の方針
100株保有時の優待利回り1.68%と予想配当利回り0.42%から、総合利回りは2.10%。200株保有の場合は、2.10+0.42=2.52%の総合利回りです。残念ながら、今の配当水準では、魅力ある利回りとまではいえません。
コスト改善が進み利益率の向上はみられていますが、まだ株価指標的に投資魅力ある状況ではありません。
ロシアによるウクライナ侵攻の長期化も見込まれ、小麦を含めた原材料価格の高騰も長引きそうな感じです。エネルギー価格の上昇もあり、今後も一層、コスト増がじわじわ効いてくる可能性が高いかもしれません。
優待券が減額となり、なかなかポジティブ面がみえない状況ではあります。一方で、業績改善を背景に、このところ株価は堅調に推移しています。10年近く前からの投資銘柄であり、ある程度の利が乗った状態であります。優待券を楽しみに、今後様子を見ながら、しばらくは継続保有前提で臨みたいと思います。
<ご注意>
当サイトに記載の内容は、あくまで、管理人の個人的な見解に基づくもので、何ら特定の投資運用方針を推奨するものではありません。記載内容については、細心の注意を払い各種の公表資料等から作成していおりますが、掲載内容の適時性、正確性、有用性等に関して一切保証するものではありません。投資にあたり、万が一損害を受けたとしても一切責任は負えません。投資はあくまで自己責任でお願いします。
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