市場混乱につながる可能性のあるリスク要因については、投資にあたって常に頭に入れておくことが大切だと思います。なお、昨年多くの示唆を与えてくれた2021年の10大リスクについては、こちらの記事をご覧ください。
(2023年1月追記:2023年の10大リスクが発表されました。こちらの記事をご覧ください)
ユーラシア・グループによる「2022年のトップ・リスク」は以下の通りです。(参考のためにカッコ内に原文表示しています)
2022年1月公表「ことしの10大リスク」- ユーラシア・グループ
1. 中国のゼロコロナ政策の失敗(No Zero COVID)
これまで強力なゼロコロナ政策で新型コロナウィルスをうまく抑え込んできた中国において、より感染力の強い変異株の出現が、その政策失敗や混乱を引き起こすリスク。これまで以上の厳しいロックダウン都市封鎖などが必要となり、経済的混乱、国家による介入、国民の不満の高まりが懸念される
2. 巨大ハイテク企業による支配(Technopolar World)
ハイテク企業に集積された偏ったデータを利用したアルゴリズムにより、混乱や暴動が引き起こされ、株式市場へも多大な影響が及び、人々が陰謀論に巻き込まれるリスク
3. 米国の中間選挙(US Midterms)
2022年11月の米国の中間選挙において、共和党がほぼ確実に連邦下院で過半数を奪い、上院でも過半数を得る可能性があると予測。上院でいずれの党が勝ったとしても、他方が選挙の不正を訴え、選挙の歴史的な転換点とになってしまうリスク。さらに、2024年の大統領選挙でトランプ氏が当選、あるいは、負けたとしても大統領の地位を「盗み取る」ような行動をとることが懸念され、国民の政治に対する信頼が失われ、政情不安が国外にも影響を及ぼすことが懸念される
4. 中国の国内政策(China At Home)
中国経済が弱まりつつある中、都市封鎖等の極めて厳しいゼロコロナ政策によって中国国内の停滞感が強まるリスク
5. ロシア(Russia)
米国とロシア間は極めて強い緊張状態にあり、米国をはじめとした西側諸国の譲歩が引き出せない場合にロシアがウクライナに対して行動を起こす可能性
6. イラン(Iran)
イランの核開発をめぐる米国とイラン間の核協議が中断してしまい、イランの核開発能力は大きく前進、地域における紛争リスクが高まる
7. 2歩進み1歩下がる環境政策(Two Steps Greener, One Step Back)
化石燃料から再生可能エネルギーへ転換は進んではいるもののスムーズな道のりにはならない。エネルギー価格の高騰や政策面の衝突を引き起こす可能性
8. 世界各地に力の空白地帯(Empty Lands)
米国はもはや国際社会において世界の警察官を務めるようなことはなく、中国もその役割を取って代わる訳ではない。この力の空白地帯を埋める国の不在が、アフガニスタン、西アフリカのサヘル地方、イエメン、ミャンマー、エチオピア、ベネゼエラやハイチなど、多くの国や地域を苦しませることになる懸念
9. 文化価値観の衝突に敗れる企業(Corporate Losing The Culture War)
グローバル展開する多国籍企業は環境問題、人権問題、社会的責任、政治対応等により多くの時間と労力コストを強いられることになる懸念
10. トルコ(Turkey)
トルコのエルドアン大統領の政策によって、トルコ経済およびその国際的地位が2022年に一層落ちていくリスク
「参考」EURASIA GROUP'S TOP RISKS FOR 2022
今後の投資にあたって
2021年初にトップリスクに挙げられていたバイデン大統領の課題運営や、コロナ問題の長期化、さらに米中緊張関係の拡大などのリスクは正に顕在化し、市場に影響を与えました。2022年も中国の政策や米国の中間選挙を強くリスク要因として捉えているようで、認識を新たにさせられました。
その他、ロシア、イラン、トルコなどの国々や、アフガニスタン他の地域における地政学的リスクについても注意を要すると感じます。コロナ問題の動向も注視しながら、引き続き長期視点でしっかり分散した運用ポジション運営を進めていきたいと思います。
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