米長期金利が大幅上昇し、イールドカーブがフラット化-コカ・コーラほか、魅力の出てきた米ドル建中短期債を購入

2022/04/24

投資-債券

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インフレ懸念の高まりを受け、米国長期金利の上昇が大幅に進んでいます。3月半ばに2%へと突入してきた米国10年物国債金利は、その後ぐんぐんと上昇を続け、ついに2.9%台まできました。これは、3%台をつけていた2018年12月以来、約3年半ぶりの水準です。

米国10年金利も上昇していますが、より期間の短い債券の金利は更に大きく上昇しました。すなわち、2年から5年程度の残存期間の中短期債の魅力が、かなり高まってきたといえます。(下記にてご説明していますが、こうした変化を、米国債のイールドカーブがフラット化してきたと言います)

この恩恵を受ける、中短期ゾーンの米ドル建ての個別債券を2銘柄購入しました。

米国長期金利2.9%台-大幅上昇の背景

ロシアによるウクライナ侵攻を受けた主要国の経済制裁によって、原油・天然ガスなどのエネルギーをはじめ、小麦などの商品価格が大きく上昇しています。インフレ懸念の高まりを受け、米国において大幅かつ急速な金融引締め(利上げ)への警戒感が強まり、長期金利への上昇圧力となっています。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、4月21日の国際通貨基金(IMF)の討論会において、次回の5月3・4日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の利上げを実施する可能性が高いことを示唆しました。

市場では、5月のFOMCに続き、6月や7月においても0.5%幅の連続利上げが行われる可能性や、0.5%ではなく0.75%の利上げ幅となる、などの警戒感も出てきていて長期金利の大幅上昇に繋がっています。

過去5年の米国10年国債と2年国債金利の推移(2017年5月~2022年4月)米国10年国債と2年国債金利の推移(2017年5月~2022年4月)

米国債イールドカーブがフラット化(平坦化)

イールドカーブとは「債券の利回り曲線」のことです。横軸に債券の残存期間、縦軸に利回り(金利)をとり、債券の残存期間と、それに応じた債券利回りとの関係を曲線で示すものです。

経済環境や金融政策の動向、それを受けた債券市場における投資家の行動などにより、この曲線、イールドカーブの形状は変化します。残存期間の短い債券と長い債券の金利差が拡大してカーブが急(スティープ)になったり、金利差が縮小してカーブが平坦(フラット)になったり、場合によっては、短期債の利回りが長期債の利回りを上回る逆イールドになったりします。

下記グラフにて、2020年12月、2021年6月、2021年12月、2022年3月末、そして直近4月22日の、合計5本のイールドカーブを示しています。

米国債のイールドカーブ(利回り曲線)変化(2020年12月から2022年4月)米国債のイールドカーブ(利回り曲線)変化(2020年12月から2022年4月22日)2021年に入り、米国債金利が徐々に上昇しはじめました。2020年12月のカーブ(紫色)から2021年6月カーブ(緑色)への変化をみると、2021年前半は、期間7年から10年の長期の金利を中心に上昇していることが分かります。これにより、2021年6月のイールドカーブは、よりスティープ化(急こう配化)しています。

2021年12月ににかけては、期間2年から5年の中短期の金利がより大きく上昇し、青色のイールドカーブ形状は2020年末と同じような勾配になっています。

2022年に入ると、長期の金利が大きく上昇するのに伴い、特に3月から4月にかけては2年や3年の短期金利がより大きく上昇しています。2022年3月(黄色)や直近4月22日のカーブ(オレンジ色)から、このことが確認できます。

コカ・コーラ社債
銘柄コカ・コーラ
米ドル建社債(シニア債)
債券格付A+(S&P)
A1(Moody's)
利率(クーポン)年 1.00%
期間約5.8年
償還期限2028年3月15日
償還価格額面金額の100%
早期償還条項発行体による額面金額の100%にて早期償還する権利あり
投資利回り年 3.24%

コーペラティブ・ラボバンク社債
銘柄コーペラティブ・
ラボバンク
米ドル建社債(シニア債)
債券格付A+(S&P)
Aa2(Moody's)
利率(クーポン)年 1.88%
期間約2.2年
償還期限2024年6月18日
償還価格額面金額の100%
投資利回り年 3.11%

金利上昇の恩恵を受け、残存期間2年から5年程度の両債券ともに、シニア社債で投資利回りは3%台にのせています。

コカ・コーラ社は言わずと知れた世界的な飲料メーカー。米国格付機関による格付がシングルA格です。発行体による早期償還の条項(コーラブル条項)がついていて、その分利回りが上乗せされています。

コーペラティブ・ラボバンクは、協同組合組織として農業組織向けに金融サービスを行うオランダの金融機関です。グループで約40ヵ国で事業展開。幅広く総合的な金融サービスを提供する、オランダを代表するグローバル金融機関のひとつです。

米格付機関による格付がシングルAとダブルA格であり、残存2年で3%を超える投資利回りの債券は魅力的です。

今回の購入資金は、過去に投資した社債の満期償還金を米ドル建MMFにて保有していたものです。ドル建MMFにおける待機資金はまだまだありますので、今後の金利動向を見極めながら、追加の投資機会を探りたいと思います。

投資環境がやや不透明な中、株式市場が不安定な動きを続けています。債券セクターの投資で一定の利回りを稼ぐことが、分散ポートフォリオの安定に大きく役立つと考えています。

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自己紹介

週に1~2日の働く、セミリタイア状態の50代男性です。

これまで国内外の株式、債券、ETF、投資信託、先物、FX、不動産など投資歴25年。2000年ITバブルで資産半減、その後2008年リーマンショックの大打撃も経験しました。

20代、30代のころにがむしゃらに働き、地道に資産運用を続けてきたおかげで、資産形成はある程度進みました。

今後の充実した完全リタイアライフに向け、長期目線で分散ポートフォリオ運用を継続中です。

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