米国の政治学者イアン・ブレマー氏が率いる国際情勢のコンサルティング会社「ユーラシア・グループ」が恒例となっている「ことしの10大リスク」を発表しました。
最大のリスクとして「アメリカの時期大統領」を挙げ、米国の深い分断により半数近くの国民から不信任とみなされるバイデン時期大統領の基盤の弱さを課題としています。2番目のリスクとして「コロナ問題の長期化」を挙げ、ワクチン接種がはじまっても直ぐにはリスクが無くならないと予想、3番目のリスクとして「気候:排出ゼロ目標の世界」をあげ、野心的な気候変動対策による企業や投資家のコストを指摘しています。
ユーラシア・グループによる「ことしのトップ・リスク」は以下の通りです。(参考のためにカッコ内に原文表示しています)
「ことしの10大リスク」- ユーラシア・グループ
1. アメリカの第46代大統領(46*)
過去に例のない国民の深い分断の中で米国次期大統領となるバイデン氏は、今後も常に正当性を問われ続けることになり、厳しい課題運営が続くと予想
2. コロナ問題の長期化(Long COVID)
ワクチン接種開始後も続く政治や経済への影響
3. 気候:排出ゼロ目標の世界(Climate: Net Zero Meets G-Zero)
野心的な気候変動対策による企業や投資家のコスト増、各国・地域の排出計画の協調度合いを過大評価するリスク
4. 米中緊張関係の拡大(US-China Tensions Broaden)
同盟国へのストレス波及やワクチン配布での競争、グリーンテクノロジー競争など緊張再燃の可能性
5. グローバルなデータ争い(Global Data Reckoning)
国境間のデータ覇権争いの激化
6. サイバー転換点(Cyber Tipping Point)
サイバースペースにおける攻撃やデータ盗難のリスクの高まり
7. 冷え切ったトルコ([Out In The] Cold Turkey)
コロナ禍で経済危機に直面するトルコ
8. 中東:原油安が与える打撃(Middle East: Low Oil Takes A Toll)
歳入を原油に頼る中東諸国が予算確保や自国通貨安に苦しむ可能性
9. メルケル後の欧州(Europe After Merkel)
ドイツのメルケル首相の退陣後に欧州のリーダーシップが弱まるリスク
10. ラテンアメリカの落胆(Latin America Disappoints)
コロナ禍以前から直面していた政治、社会、経済問題が一段と厳しくなる
「参考」EURASIA GROUP'S TOP RISKS FOR 2021
今後の投資にあたって
トランプ大統領によって加速されてしまった米国内の分断に対し、イアン・ブレマー氏がこれほどまでにリスクを感じているのか、とある意味驚きました。特にここ数年の好調な投資環境は米国株式市場の活況によってもたらせている部分が大きいことから、今後グローバルに他国にも広がる格差問題も含めて、米国内の分断リスクには常に気を付けていかなければならないと感じます。トルコや他の新興国経済に影響が波及しているコロナ問題の長期化も含め、過度に楽観に傾くことがないよう、慎重に運用ポジション運営を進めていきたいと思います。
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