長期視点でグローバル分散投資を続ける中で、ポートフォリオ運用の投資対象となる各資産クラスの状況を把握しておくことも大切だといえます。市場の短期的な変動に一喜一憂する必要はありませんが、投資対象となる資産クラスがどのような位置にあるかを把握することは、効果的なリバランスをする際にも役立ちます。
ここでは、運用対象の各資産クラスのパフォーマンス状況を確認します。2021年の年間実績とともに、新型コロナウィルスの影響が広がる前の2020年初からのパフォーマンスをみてみます。
主要な資産クラスのパフォーマンス状況
過去の記事と同じように、投資対象となる主要な資産クラスのパフォーマンスを、運用実績の長い低コストの投資対象eMAXISシリーズ(三菱UFJ国際投信株式会社)を用いて確認します。
主要な資産クラスのパフォーマンス状況(2021年 年間実績)
対象として用いたemaxisシリーズについては、過去の記事をご参照ください。(参照記事:投資の考え方3-ポートフォリオ運用の資産クラス)
グラフは、2020年末の価格水準を100とした場合の価格推移になります。日本債券クラスを除き、すべての資産クラスが新型コロナ前の水準を大きく上回っていることが分かります。
ほぼ一本調子で上昇した先進国REITクラス(グラフのオレンジ線)が年間で、プラス50%と最も好パフォーマンスでした。次いで、好調な米国株式が貢献した先進国株式クラスも年間上昇率が4割に迫りました。
米ドル円為替レートが年間で約12円ほど円安に振れたことが、これらの海外資産の上昇に一役買ってます。
次に、新型コロナウィルスの影響前の2020年初からの2年間のパフォーマンス状況をみてみます。
主要な資産クラスのパフォーマンス状況(2020年初~2021年末)
2020年3月の新型コロナウィルスの影響拡大に伴い、国内外の株式やREITクラスは大きく下落しました。2020年初からの下落率は、資産によって2割から5割に迫りました。
しかし、国内外の株式資産クラスはいずれも2020年中に年初水準を回復、日本REIT
および先進国REITクラスも2021年春には新型コロナウィルス影響前の水準に戻りました。
グローバルに超金融緩和状態が続き、市場にマネーがあふれる中、その後も先進国を中心に株式やREITへ投資資金が流れ込んでいます。先進国株式クラスは、2020年初の水準を5割超上回り、先進国REITクラスも3割超上回った水準にあります。
2021年、2020年それぞれ一年間のパフォーマンスを数値データとして確認しておきます。
主要な株価指数、為替レート、長期金利の年間変化
合せて、市場の主要株価指数、為替レート、および、日米の長期金利の年間変化(2021年と2020年)についても確認しておきます。
新型コロナウィルスの影響が拡大して以降、各国政府による積極的な金融緩和政策がとられ、特に先進国の株式市場へ資金が流入、株価の上昇が続いています。それに伴い、各国でインフレへの懸念が徐々に高まり、金利水準も従前に比べ上昇してきています。
米ドル金利の上昇につれ、この一年は米ドルが各国通貨に対して強くなってきました。特に円に対しては、年間で12円程度の上昇となっており、円がグローバルに最安に近い通貨となっています。
長期分散ポートフォリオの2022年運用方針
超金融緩和状態が続いたこの2年間は、先進国株式やREITなどのリスク資産が大きく上昇してきました。米国ハイテク株などは現状高値圏にあり、何かをきっかけとして今後調整する局面もあり得ると考えていています。
米連邦準備理事会(FRB)によるテーパリング(量的緩和策の資産買入額の縮小)および、その後の金融引き締め(利上げ)が早まる観測がでてきています。それに伴う米国短期金利の上昇などが景気後退入りを意識させ、株価調整のきっかけとなる可能性があるかも知れません。
とは言うものの、グローバルに強みを持つ米国企業等の収益を稼ぎだす力が急に弱くなるわけではありません。調整局面の到来は積極的に優良銘柄を拾っていくチャンスだとも考えられます。
引き続きポートフォリオ全体として分散を行い、リスクを確認しながらの運用を心がけます。株式クラスの上昇時にはリバランスによりリスク調整を行い、下落した際には再度うまく拾っていきたいと思います。
株式クラスの投資対象は、現状おもに金利上昇の恩恵を受ける金融株や、バリュー株へのウェイトが重くなっています。今後調整局面を迎えた際には、ハイテク銘柄等も含めたグロース銘柄もうまく拾っていければと思います。加えて、金利の上昇に伴って、期限の長めの債券への投資も増やしていく考えです。
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