この記事では、コロナ禍においても驚くほど業績好調な日本マクドナルドホールディングス[2702]の株主優待制度についてご紹介します。テイクアウトとデリバリー需要への取り組みが早かったことが、好調な業績の背景にあります。
外食産業の勝ち組企業、日本マクドナルドホールディングスの成長戦略や業績動向、株価の推移、配当金の実績も確認しておきたいと思います。
[2702]日本マクドナルドホールディングスの株主優待
権利確定日が6月末、12月末(年2回)の株式優待銘柄です。
権利確定日 | 6月末, 12月末(年2回) |
株主優待内容 | 保有株式数に応じて店舗で利用できる 優待食事券を贈呈
バーガー類、サイドメニュー、ドリンクの商品のお引換券が6枚ずつで1冊 |
保有株式数による「株主ご優待券」冊数
保有株式数 | 「株主ご優待券」冊数 |
100株以上 300株未満 | 株主ご優待券 1冊 |
300株以上 500株未満 | 株主ご優待券 3冊 |
500株以上 | 株主ご優待券 5冊 |
株主ご優待券の有効期限
ご優待券 (6月基準日) | 発行翌年の3月31日まで(約半年間) |
ご優待券 (12月基準日) | 発行年の9月30日まで(約半年間) |
なお、新型コロナウイルスの流行に関連し、2020年9月に贈呈された2020年6月末権利確定分の株主ご優待券の期限は、従来の2021年3月31日から2021年9月30日まで延長されています。
2021年9月贈呈(2021年6月権利確定)の株主ご優待券
株主ご優待券の利用には以下の注意点があります。
- 日本国内のマクドナルド店舗で利用可能。デリバリーサービスでは利用できません。
- バーガー類お引換券は、バリューセットのメインに選べる商品(期間限定商品、朝マック商品)に利用可能
- サイドメニューお引換券は、バリューセットのサイドに選べる商品(期間限定商品、朝マック商品)に利用可能
- ドリンクお引換券は、バリューセットのドリンクに選べる商品に利用可能
- サイズのある商品はS・M・Lの中からお選べます
- マックシェイク・マックフロートは、販売時間(10:30~翌1:00)のみ引換え可能
- バーガー類お引換券、サイドメニューお引換券、ドリンクお引換券の同時利用の場合限り、ハッピーセットと引換え可能
- バーガー類お引換券、サイドメニューお引換券の同時利用の場合に限り、「ビッグブレックファスト」か、「ビッグブレックファスト デラックス」と引換え可能
マクドナルドホールディングスの優待利回り
日本マクドナルドホールディングス[2702]へ投資する場合、2021年9月21日の株価 5,270円を前提として、100株で527,000円、300株で1,581,000円、500株で2,635,000円必要になります。株主ご優待券の価値を典型的な買取価格である1冊3,600円と考えた場合、100株につき年間2冊もらえますので、100株、300株、500株保有の場合の優待利回りはいずれも1.36%となります。
[2702]日本マクドナルドホールディングスの業績と成長戦略
日本マクドナルドホールディングスの事業・業績
日本マクドナルドホールディングスは、言うまでもなく、国内最大のハンバーガーチェーンであるマクドナルドを展開しています。1971年銀座に国内第一号店がオープン、現在全国で約3,000店が営業中です。
米マクドナルドがグループ会社を通じて35%の株式を保有し、影響力を持っています。カナダ出身で、ロシア、マレーシアやシンガポールで勤務経験のあるサラ・カサノバ氏が2013年に社長に就任しました。米マクドナルドは2020年11月と2021年9月に、日本マクドナルドホールディングス株式を一部売却し、保有比率は約50%から現在の35%へ低下しました。
2014年に仕入先の中国の食肉加工会社が期限切れ鶏肉を使用していた問題、2015年に国内店舗における異物混入問題、と立て続けに品質問題が発生しました。2015年12月には上場来最大の赤字に陥っています。その後、食の品質安全に対する継続的な取り組みを行い、成長戦略を実践してきたことにより業績の急回復を果たしています。
2016年以降は、毎年増収、営業利益ベースの増益を重ねています。2020年12月期の売上高は前期比2.3%増の2,883億円、営業利益は前期比11.7%増の312億円となり、9年ぶりに営業利益最高益を達成しています。
日本マクドナルドホールディングスの業績推移(売上高・営業利益)![日本マクドナルドホールディングス[2702]の業績推移(売上高・営業利益)2020年12月期](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEicxCPxTNDtvQBZai7c8cV-HP6yX_KPO9hIxqtjfk00nP2InTG8UUVvRQAZL7MB1eC4IIxq8YPNWf7zyFbbCzo7F_jIXDT3PUQ_C3XbKdk2bssdKCJ-o9FezCa3NGvrMRfAIcww6u-rqss/w640-h492/202106_%25E5%2585%25B1%25E7%25AB%258B%25E3%2583%25A1%25E3%2583%25B3%25E3%2583%2586%25E3%2583%258A%25E3%2583%25B3%25E3%2582%25B9+%25E5%25A3%25B2%25E4%25B8%258A%25E5%2596%25B6%25E6%25A5%25AD%25E5%2588%25A9%25E7%259B%258A%25E6%258E%25A8%25E7%25A7%25BB%25E3%2582%25B0%25E3%2583%25A9%25E3%2583%2595.jpg)
※日本マクドナルドホールディングスの決算資料よりブログ管理人作成
日本マクドナルドホールディングスの成長戦略
日本マクドナルドホールディングスは、持続的成長にむけた戦略を次のように整理し公表しています。(2020年第二四半期決算説明会資料より)
成長の基盤となるピープル(採用、トレーニング)やブランドトラスト(品質安全、環境対応やガバナンス)に力を入れるとともに、成長の柱として、デリバリー・デジタル・未来型店舗体験、と店舗投資(新規出店・リビルド)を設定しています。
モバイルオーダーやパーク&ゴー導入による持ち帰り需要の取り込みや、マックデリバリーサービスやUber Eats、出前館などのデリバリーサービスをこれまで強化してきました。利便性の高さが再評価されているドライブスルーについても、複数レーン化によるキャパシティ拡大など強化を続けています。
店舗への投資も継続中で、2021年通期も、店舗数純増10店舗以上、リビルド(既存店の建て直し再生)20~30店舗、改装100店舗以上を計画しています。
コロナ禍での客単価の大幅アップが成長を支える
これまでの成長への取り組みが、コロナ禍における収益に大きく貢献しました。以下グラフは、マクドナルド既存店の月次の売上高、来店客数、客単価について、2020年1月からの推移を表しています。
※日本マクドナルドホールディングスの公開資料よりブログ管理人作成各数値は、2019年の同月の数値を100%として、その数値に対してどのくらいの水準であったかを毎月表しています。例えば、2020年2月の売上(青線)の値は114.7%ですが、この月の売上が20219年2月の売上より14.7%高かったことを示します。
グラフの客数推移(オレンジ線)をみると、2020年3月に新型コロナウィルス感染症拡大の影響が出始めた後の数か月間、客数が大きく落ち込んでいることが分かります。2020年5月には、来店客数が2019年対比で2割超落ち込みました。その後ある程度回復しグラフは90%~100%の間の推移となりますが、2021年に入っても、未だ2019年の客数を下回っている状態です。
一方、客単価推移(緑線)をみると、同時期に大幅に上昇しています。一旦落ち着いた後も、緩やかな上昇を続けていて、2021年8月の客単価は、2019年8月より約30%も高い水準です。
コロナ禍において、店内飲食の一時中止や、テレワーク・外出自粛の広がりにより来店客数は大幅に減少しました。一方、食事場所が店内から自宅など店外にシフトしたのに伴い、家族や友人分をまとめた持ち帰り購入が増え、客単価が上昇しました。マックデリバリーサービスやUber Eats、出前館などデリバリーを強化した効果も出ています。
スピード感を持ったテイクアウトとデリバリー需要への取り組みが、客単価の上昇へつながり、売上アップを支えていることがグラフからわかります。
[2702]日本マクドナルドホールディングスの配当実績
日本マクドナルドホールディングスの配当実績・一株当たり利益・期末配当利回り
年度 | 一株当たり 利益(円) | 配当金 (年間・円) | 期末配当 利回り |
2016年12月期 | 40.37 | 30 | 0.98% |
2017年12月期 | 180.69 | 30 | 0.61% |
2018年12月期 | 165.01 | 30 | 0.64% |
2019年12月期 | 127.00 | 33 | 0.63% |
2020年12月期 | 151.83 | 36 | 0.72% |
※日本マクドナルドホールディングスの決算資料よりブログ管理人作成 順調に収益力を伸ばす中で、配当性向が20%程度と配当余力を残しながら配当を増やしてきています。
[2702]日本マクドナルドホールディングスの株価推移
日本マクドナルドホールディングス[2702]の株価推移(週足:2015年~2021年9月現在) マクドナルドホールディングスの株価は、複数の品質問題が発生した2015年以降しばらくは2,500円付近で低迷しています。収益力が回復し、一株当たり利益が大幅に増えた2017年に、一気に倍の5,000円付近まで上昇をみせました。その後は、上下動はあるものの、概ね5,000円台前半での推移となっています。
2020年以降をみると、新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受け、株価は3月に4,300円程まで急落しました。しかし、好調なデリバリーやテイクアウトによる客単価の上昇が確認されると、急速に株価は戻し、6月に一気に6,000円超えまで上昇しました。その後は落ち着き、5,000円台前半での推移が続いています。
日本マクドナルドホールディングス[2702]の株価推移(日足:2020年1月~2021年月現在)
[2702]日本マクドナルドホールディングスの投資指標と今後の運用方針
2021年9月21日の株価 3,270円による投資指標
一株当たり 利益(EPS)予想(円) | 157.94 |
年間配当金 予想(円) | 36 |
予想PER(倍) | 33.37倍 |
実績PBR(倍) | 3.87倍 |
ROE 予想 | 11.79% |
配当利回り予想 | 0.68% |
※日本マクドナルドホールディングスの決算資料よりブログ管理人作成
今後の運用スタンス
優待利回りの1.36%と予想配当利回り0.68%から総合利回りは2.04%となり、それほど魅力はありません。予想株価収益率(PER)は33.4倍、株価純資産倍率(PBR)実績値も3.9倍と、指標面でも全く割安感はありません。一方、
- 成長戦略の実践による 10%を超える高い自己資本利益率(ROE)の実現
- 効率的な運営からの飲食業としては高い10%の売上高営業利益率の達成
- 70%台の自己資本比率からくる安定性確保
- 2015年頃の品質問題を乗り越え、強いブランド力が復活
などから、今後の成長にも十分期待ができるビジネスモデル展開だと思っています。今後も投資継続の方針です。
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