ソフトバンクグループ[9984]が無担保普通社債(第58回)(愛称「福岡ソフトバンクホークスボンド」) 3,850億円を発行する予定です。申込は2022年12月2日から、発行日は2022年12月16日になります。
無担保普通社債としては、2021年9月に個人向け(第56回)と機関投資家向け(第57回)に総額5,000億円を発行して以来です。また、円建ての劣後債としては、直近2022年2月に5,500円の第5回無担保劣後債を発行しています。(第5回無担保劣後債の条件等については、こちらの過去記事をご覧ください)
今回発行の普通社債の概要、自分なりの投資に向けた判断材料をまとめておきたいと思います。
ソフトバンクグループ第58回無担保社債
ソフトバンクグループにより発行予定の無担保社債の概要は次のようになります。
ソフトバンググループは2022年12月に償還を迎える普通社債を過去に発行しています。今回の社債による調達資金はこの償還資金に主に充てられると思われます。
ソフトバンクグループ第58回無担保普通社債への投信判断について
今回のソフトバンクグループ第58回無担保社債については、普通社債としてかなりの高クーポンとなり、投資妙味があると考えられます。ただし、発行体ソフトバンクについて気になる部分もあり、実際に投資するかどうかの判断はまだしていません。
- 今回債のクーポンは年2.84%と決定され、前回2019年9月発行の同じ期間7年の普通社債の1.38%と比べ、倍以上の水準です。市場環境や発行体企業の財務状況が異なるとはいえ、かなり投資妙味のある水準とも考えられます。
- 直近2022年2月発行の期間7年の劣後債のクーポンが2.48%でしたので、今回の普通社債のクーポンはこれをも上回っています。劣後債は一般の普通社債(シニア債)よりも元利金の支払順位が低い債券です。
劣後債はそのぶん普通社債より信用リスクが高いといえます。格付機関のJCR(日本格付研究所)により、2月の劣後債については今回の普通社債の格付A-格よりも低いBBB+格の信用格付が付与されています。
直近発行の劣後債をも上回る高クーポン水準は、長期分散投資ポートフォリオの日本債券クラスとして極めて魅力的ではあります。(劣後債やその格付については、こちらの過去記事をご参照ください)
- ソフトバンクグループはかなりのレバレッジのかかったビジネスを展開しています。特に、テクノロジー企業への投資を行っているビジョン・ファンドと、半導体技術開発企業のアームへの投資規模からくる影響はかなり大きいといえます。
米国を中心としたハイテク企業の株価下落や、ロシアによるウクライナ侵攻などによるグローバル市場や経済の混乱が与える影響が、今年の年初に比べても遥かに大きくなっていることは気になります。
- このような環境下で、ソフトバンクグループ発行体としての信用リスクが従前より高まっているのは明白です。現在、ソフトバンクグループの発行体格付は、格付機関JCRによりA-格、米国S&P(S&Pグローバル・レーティング)によりBB+格の格付が付与されています。
S&Pは、11月17日に、ソフトバンクグループの発行体格付の見通し(アウトルック)を「安定的」から「ネガティブ」に引き下げたと発表しました。格付はBB+格に据え置いていますが、アウトルック「ネガティブ」とは、今後1~2年のうちに信用度が下がり格付が変化する可能性があると、S&Pは示したことを意味します。
今回の債券のクーポンが、2月に発行された劣後債をも上回るクーポン設定となっていることも、こうした背景からきているといえます。
- 長期分散投資ポートフォリオの日本債券クラスとして、7年間の期間中に当債券を売却することになる可能性はほぼ無いです。したがって、投資にあたっての流動性リスクは全く問題にならず受け入れ可能。
- 米国格付機関ではなく日本のJCRからではあるが、A-格の投資適格債券格付を取得していて、2.84%もの高クーポン債券であること、ソフトバンクグループの孫正義氏の手腕には一定の信頼感があること、がプラス面。一方で、上に記載のとおり市場環境などからくる、信用リスクの低下がマイナス面。
また、既に同社の社債を長期投資ポートフォリオの2%程度保有していることから、更に積み増すことが分散の観点から良いのかどうかについても検討が必要。以上について申込日までに検討、判断をしたいと考えます。
なお、ハッピーリタイアに向けた長期分散ポートフォリオ投資における日本債券クラスへの投資スタンスについては、こちらの記事で触れていますのでご参照ください。
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