インフレを背景としたFRB(米連邦準備理事会)の金融引締めへの警戒感が続いているなかで、10月中旬になると、次回12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)における利上げは、予想されいたものより緩やかになるだろうとの観測が広がりました。
こうしたことを背景に10月後半になると、米長期金利は上昇が一服し、株式市場もにかけて戻りを試す上昇を見せ始めました。27日に発表された米国GDPも市場予想を上回り、恐れていた本格的なリセッション入りは避けられ、景気スローダウン程度で済みそうだとの安堵感が市場に広がりました。
S&P500指数は2022年初から続く下降トレンドをいまだ脱していませんが、一旦3,600レベルの200週移動平均線(オレンジ線)をサポートとして、するどい反発をみせています。
米国市場における安心感の広がりを受け、日本をはじめ欧州の株式市場も上昇に転じました。米長期金利の上昇が一服したことで、為替市場でも各国通貨に対する米ドル高が一段落しています。
今後、12月のFOMC、米国雇用統計の発表などの注目イベントが続きますが、インフレ動向を注視しながらの展開が続くと想定されます。
ここでは、主な資産クラス毎のパフォーマンス動向を確認しておきたいと思います。
主な資産クラスのパフォーマンス状況(2022年10月)
これまでと同様に、代表的な低コスト・インデックス投信であるeMAXIS Slimシリーズ(三菱UFJ国際投信株式会社)の価格動向を用い、各資産クラスのパフォーマンスを確認します。
以下、eMAXIS Slimシリーズにおける主要資産クラスの投資信託について、2022年10月のパフォーマンスを表示しています。
グローバル投資市場の主要指数の確認(2022年10月末)
為替・金利市場
- 米国株式市場、月間でプラス8%
FRBが利上げペースを減速するとの観測や、本格的なリセッション入りは回避できそうだとの思いが広がり、株式市場は大きく反発、S&P500指数は月間でプラス8.0%となりました。一方、アルファベット(GOOGL)やアマゾン・ドット・コム(AMZN)などハイテク企業の多くが市場の予想を裏切る決算を発表し、Nasdaq総合指数は月間プラス3.9%にとどまりました。
- 日本株式は月間プラス5.1%
これまでの上昇が鈍かった日本株式も、月間で5.1%のプラス。年初来マイナス3.2%の水準まで回復してきました。
- 米10年国債金利は2007年以来の4.3%を一時つける
10月に入っても米国長期金利の上昇は続き、10月21に米10年国債金利は、2007年来となる4.3%をつけました。その後、FRBの利上げ姿勢が弱まるとの観測からやや低下、前月比0.22%高い4.05%で終えました。
- 米ドル円は一時152円に迫るも、148円台で終える
米国長期金利の大幅上昇を受け、米ドル円為替レートは10月21日に151円台と32年ぶりの円安水準をつけました。この円安水準更新後には、日本政府による円買い介入が入り、146円台へと急反発をみせました。
その翌週にも為替介入と思われる円の乱高下が見られる場面がありましたが、10月終わりににかけては落ち着きを取り戻し、前月比約4円の円安水準の148円台で終えました。
米国長期金利の上昇に一服感がでたことで、各国通貨に対する米ドルの独歩高は一段落しています。複数の主要国通貨に対する米ドルの為替レート価値を表すドルインデックス(ドル指数)は、前月からやや低下した111ポイントとなっています。
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