2022年11月末、グローバル投資市場と主な資産クラスの動向確認-米国の利上げ減速感が広がり株高、円高が進む

2022/12/01

投資-市場動向

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11月は、米国のインフレ動向、さらに、物価や賃金の経済指標を受けてFRB(米連邦準備理事会)の金融引締めスタンスがどのようになるのか、ということに注目が集まる1ヵ月でした。

月初は11月4日の米雇用統計の発表や、8日の米国の中間選挙の結果をにらみながら揉み合うような市場展開でした。雇用統計の失業率が前月より悪化したことで株式市場では買い戻しが広がりましたが、中間選挙での共和党の伸び悩み、民主党の善戦と予想外の結果を受けると、今度は弱含みとなりました。

しかし、11月10日に発表された米CPI(消費者物価指数)の市場予想を下回る結果を受け、市場は一変しました。10月の米CPIはは、前年同月比7.7%の上昇となり、前月の8.2%から減速、市場予想も0.2%下回る結果となりました。

CPIの想定以上の減速は好感され、金融市場ではインフレが最悪期を過ぎたとの見方が広がりました。先行きの利上げ減速が織り込まれ、米株式市場は急反発、金利は急低下しました。米長期金利の低下を受け、為替市場でも146円台から140円まで一気に円高ドル安が進みました。

その後、パウエルFRB議長が11月30日の講演で、早ければ12月にも金融引締めペースを落とす可能性が高いことを示すと、株式市場は月末にかけさらに買われて終えました。

日本の株式市場も米国株に歩調を合わせるように、月半ばから上昇基調となり一時年初来の水準付近まで回復しました。

下記は、S&P500指数、Nasdaq総合指数、および、東証TOPIX指数の年初来パフォーマンス比較グラフです。
S&P500、Nasdaq、TOPIX指数の年初来パフォーマンス比較グラフ(2022年11月末時点)

2022年を通して、日本株式は米国株式と比べて相対的に底堅く推移してきました。米国株式は2021年により大きく上昇し、その分、2022年に入ってより大きな調整を迎えてしまったといえます。

2022年中の下落率がより大きかった米国株式は、この11月に日本株式よりも力強い反発となりました。ただ、高金利の影響を受けやすいハイテク銘柄の多いNasdaq総合指数の動きは、S&P500に比べると弱いものとなっています。

ここでは、主な資産クラス毎のパフォーマンス動向を確認しておきたいと思います。

主な資産クラスのパフォーマンス状況(2022年11月)

これまでと同様に、代表的な低コスト・インデックス投信であるeMAXIS Slimシリーズ(三菱UFJ国際投信株式会社)の価格動向を用い、各資産クラスのパフォーマンスを確認します。

以下、eMAXIS Slimシリーズにおける主要資産クラスの投資信託について、2022年11月のパフォーマンスを表示しています。

主要な資産クラスの2022年11月実績
主要な資産クラスの月間パフォーマンス(2022年11月)
※新興国債券クラスのみ、eMAXIS Slimeシリーズは存在しないため、eMAXIS新興国債券インデックスを用いています。対象として用いたemaxisシリーズについては、過去の記事をご参照ください。(参照記事:投資の考え方3-ポートフォリオ運用の資産クラス

続いて、各資産クラスの2021年初から過去2年間の動向を見てみます。
主要な資産クラスのパフォーマンス推移グラフ(2021年初~2022年11月)

2022年初からの動きをクローズアップします。
主要な資産クラスのパフォーマンス推移グラフ(2022年1月~11月)
11月にインフレのピークアウト感が広がったことで、株式市場は大きく反発しています。ただ、日本株式や新興国株式が順調なプラスパフォーマンスであった一方、円ベースで見る場合の米国株式は為替の円高進行を受け、マイナスとなってしまいました。

グローバル投資市場の主要指数の確認(2022年11月末)

続いて、主要な指数の現状確認をしておきます。

株式市場
指数2022年
11月末
変化
(月間)
変化
(年初来)
S&P 5004,080.115.4%-14.4%
Nasdaq11,468.004.4%-26.7%
東証TOPIX1,985.572.9%-0.3%
ドイツ DAX14,397.048.6%-9.4%
英国 FTSE1007,573.056.7%2.6%
香港ハンセン18,597.2326.6%-20.5%
上海株価指数3,151.348.9%-13.4%
Dow Jones34,587.465.7%-4.8%
日経平均株価27,968.991.4%-2.9%
東証REIT指数1,970.04-0.2%-4.7%

為替・金利市場
指標2022年
11月末
変化
(月間)
変化
(年初来)
米ドル円 為替レート137.36-11.38円22.28円
ユーロ円 為替レート143.17-3.87円12.35円
英ポンド円為替レート165.23-5.34円9.54円
豪ドル円 為替レート93.40-1.94円9.85円
ドルインデックス105.92-5.5310.33
米国10年国債金利3.61%-0.44%2.10%
日本10年国債金利0.25%0.01%0.18%

商品先物市場
商品先物2022年
11月末
変化
(月間)
変化
(年初来)
WTI原油 (ドル/バレル)76.55-11.2%1.8%
(ドル/トロイオンス)1,787.309.3%-2.3%
(ドル/トン)8,23910.6%-15.2%

  • 米国株式市場、月間でプラス5.5%
    10日に公表された10月の米CPIの伸び率が市場予想を下回り、FRBによる先行きの利上げ減速観測が広がったことで、株式市場は大きく反発、S&P500指数は月間でプラス5.4%となりました。ハイテク企業の多いNasdaq総合指数は月間プラス4.4%となりました。

  • 日本株式は月間プラス2.9%
    年間を通して、米国株式などと比べて相対的に底堅かった日本株式は、上昇もやや控えめとなりました。東証TOPIXは月間で2.9%のプラス、ほぼ昨年末水準を回復しています。

  • 米10年国債金利は大幅に低下し3.6%
    10月に一時4.3%台まで上昇した米10年国債金利は、FRBの利上げ姿勢が弱まりを受け大きく低下、3.6%となりました。

  • 米ドル円は一時152円に迫るも、148円台で終える
    米国長期金利の大幅低下を受け、米ドル円為替レートでも円が急伸しました。米CPI公表直後には1日で6円以上円高が進むようなこともあり、結局11円もの円高ドル安水準となる137円台で終えています。

なお、11月の長期分散投資ポートフォリオの運用実績についてはこちらの記事をご覧ください。

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自己紹介

週に1~2日の働く、セミリタイア状態の50代男性です。

これまで国内外の株式、債券、ETF、投資信託、先物、FX、不動産など投資歴25年。2000年ITバブルで資産半減、その後2008年リーマンショックの大打撃も経験しました。

20代、30代のころにがむしゃらに働き、地道に資産運用を続けてきたおかげで、資産形成はある程度進みました。

今後の充実した完全リタイアライフに向け、長期目線で分散ポートフォリオ運用を継続中です。

投資スタンスについてはこちらをご覧ください。

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