11月は、米国のインフレ動向、さらに、物価や賃金の経済指標を受けてFRB(米連邦準備理事会)の金融引締めスタンスがどのようになるのか、ということに注目が集まる1ヵ月でした。
月初は11月4日の米雇用統計の発表や、8日の米国の中間選挙の結果をにらみながら揉み合うような市場展開でした。雇用統計の失業率が前月より悪化したことで株式市場では買い戻しが広がりましたが、中間選挙での共和党の伸び悩み、民主党の善戦と予想外の結果を受けると、今度は弱含みとなりました。
しかし、11月10日に発表された米CPI(消費者物価指数)の市場予想を下回る結果を受け、市場は一変しました。10月の米CPIはは、前年同月比7.7%の上昇となり、前月の8.2%から減速、市場予想も0.2%下回る結果となりました。
CPIの想定以上の減速は好感され、金融市場ではインフレが最悪期を過ぎたとの見方が広がりました。先行きの利上げ減速が織り込まれ、米株式市場は急反発、金利は急低下しました。米長期金利の低下を受け、為替市場でも146円台から140円まで一気に円高ドル安が進みました。
その後、パウエルFRB議長が11月30日の講演で、早ければ12月にも金融引締めペースを落とす可能性が高いことを示すと、株式市場は月末にかけさらに買われて終えました。
日本の株式市場も米国株に歩調を合わせるように、月半ばから上昇基調となり一時年初来の水準付近まで回復しました。
下記は、S&P500指数、Nasdaq総合指数、および、東証TOPIX指数の年初来パフォーマンス比較グラフです。
ここでは、主な資産クラス毎のパフォーマンス動向を確認しておきたいと思います。
主な資産クラスのパフォーマンス状況(2022年11月)
これまでと同様に、代表的な低コスト・インデックス投信であるeMAXIS Slimシリーズ(三菱UFJ国際投信株式会社)の価格動向を用い、各資産クラスのパフォーマンスを確認します。
以下、eMAXIS Slimシリーズにおける主要資産クラスの投資信託について、2022年11月のパフォーマンスを表示しています。
グローバル投資市場の主要指数の確認(2022年11月末)
為替・金利市場
- 米国株式市場、月間でプラス5.5%
10日に公表された10月の米CPIの伸び率が市場予想を下回り、FRBによる先行きの利上げ減速観測が広がったことで、株式市場は大きく反発、S&P500指数は月間でプラス5.4%となりました。ハイテク企業の多いNasdaq総合指数は月間プラス4.4%となりました。
- 日本株式は月間プラス2.9%
年間を通して、米国株式などと比べて相対的に底堅かった日本株式は、上昇もやや控えめとなりました。東証TOPIXは月間で2.9%のプラス、ほぼ昨年末水準を回復しています。
- 米10年国債金利は大幅に低下し3.6%
10月に一時4.3%台まで上昇した米10年国債金利は、FRBの利上げ姿勢が弱まりを受け大きく低下、3.6%となりました。
- 米ドル円は一時152円に迫るも、148円台で終える
米国長期金利の大幅低下を受け、米ドル円為替レートでも円が急伸しました。米CPI公表直後には1日で6円以上円高が進むようなこともあり、結局11円もの円高ドル安水準となる137円台で終えています。
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