7月の金融市場は、グローバルなインフレ動向、リセッション(景気後退局面)入りへの懸念、米国の金融政策スタンスがどうなるのか? が、強く意識され続けた1ヵ月となりました。
足もとの高インフレへの対応で各国が利上げを進める中、欧州や中国において景気減速を示す指標が多くなってきました。国際通貨基金(IMF)による7月の世界経済見通しアップデートでも、各国のGDP成長率が4月時点から下方修正されました。
景気後退への懸念がくすぶるなか、7月27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)における利上げスタンスを確認したいとの思惑は強く、7月半ば過ぎまで、株式市場は一進一退の揉み合い推移が続いていました。
7月のFOMCでは0.75%と前回に続いて大幅な利上げが決定され、次回9以降の追加利上げも示唆されました。ただ、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が、今後の経済状況次第では利上げ姿勢を緩めるとの発言をしたことから、市場には安心感が広がりました。
月末にかけて、株式市場は大きく上昇、債券市場は利回り低下が進みました。
ここでは、運用における主な資産クラス毎のパフォーマンス動向を確認しておきたいと思います。
主な資産クラスのパフォーマンス状況
これまでと同様に、代表的な低コスト・インデックス投信であるeMAXIS Slimシリーズ(三菱UFJ国際投信株式会社)の価格動向を用い、各資産クラスのパフォーマンスを確認します。
以下、eMAXIS Slimシリーズにおける主要資産クラスの投資信託について、2022年7月のパフォーマンスを表示しています。
※新興国債券クラスのみ、eMAXIS Slimeシリーズは存在しないため、eMAXIS新興国債券インデックスを用いています。対象として用いたemaxisシリーズについては、過去の記事をご参照ください。(参照記事:投資の考え方3-ポートフォリオ運用の資産クラス)グローバル投資市場の主要指数の確認
為替・金利市場
- 米国株式市場、S&P500は月間プラス7%、Nasdaqはプラス12%
景気後退入りの懸念も広がるなかで暫く揉み合いが続いた米株式市場ですが、月末にかけて大幅上昇となりました。7月FOMCにおける米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長の発言を受け、今後の経済情勢次第で利上げペースは緩まるとの安心感が広がりました。
S&P500指数は月間でプラス9%、ハイテク銘柄の多いNasdaq総合指数は月間プラス12%と急回復しています。それでも依然として、S&P500は年初来マイナス13%、Nasdaqは年初来マイナス20%の水準にあります。
- 春以降、相対的に底堅かった日本株式市場はプラス3.7%
2022年4月以降の下落幅が、欧米株に比べて相対的に小さかった日本株は、7月の上昇も限定的となりました。TOPIXは月間で3.7%の上昇に留まりました。日経平均株価も月末に場中で一時28,000円を回復しましたが、上値は重く、終値では結局28,000円を維持できませんでした。
- 米10年国債金利は0.36%も低下し2.66%で終える
6月には一時3.5%に迫った米10年国債金利ですが、リセッション入りの懸念の広がりとともに徐々に3%を下回るような水準へと低下しました。さらに7月FOMCのパウエル議長の発言を受け、月末には金利低下が加速、前月比0.36%低い2.66%と4月以来の水準で終えています。
- 為替市場、米ドルは一時139円台をつけるも、円反転し133円水準で終える
米ドル円為替レートは、7月14日に139円台の高値をつけた後、米長期金利の低下とともに徐々に円安方向への推移となりました。月末近くに米長期金利の低下が一段と進むと、節目であった135円を割り込み、前月比2.6円のドル安円高水準である133円台で終えています。
欧州圏の景気後退の懸念から、引き続きユーロは売られています。ユーロ米ドル為替レートは、2002年以来となるパリティ水準、すなわち1ユーロ=1米ドルを7月半ばに割り込みました。複数の主要国通貨に対する米ドルの為替レート価値を表すドルインデックス(ドル指数)は上昇し、前月比1.3ポイント高い105ポイント後半で終えています。
- リセッション入り懸念で原油や銅など商品市場は下げる
世界経済の景気後退局面入りの可能性がより強く意識され、引き続き商品市場は下げました。6月に大幅安となっていた銅価格は4%安、WTI原油先物市場は、7.4%安の1バレル98ドル台で終えています。
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