2022年8月末、グローバル投資市場と主な資産クラスの動向確認-パウエル議長のジャクソンホール発言で市場は一気に不安定に

2022/09/01

投資-市場動向

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景気後退への懸念も強い一方で、インフレ動向が落ち着きはじめるとの観測が一部に広がり、金融市場は8月半ば過ぎまでやや楽観的なムードがでていました。

株式市場は年初からの下落分の戻りを試すような展開。6月から7月にかけて3%を超えていた米国長期金利も、2%台後半での動きが続いていました。

ところが8月26日のジャクソンホール会議における、米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長の講演によって状況は一変しました。パウエル議長は、市場の一部で浮上していた早期の利下げ観測に否定的な見方を示し、あくまでインフレ対応の急速な引締めペースの継続を示唆したのです。

パウエル議長の想定以上のタカ派寄りの姿勢を受け、株式市場は急落、金利は急騰、その後も月末にかけて不安定な動きが続いています。

ここでは、運用における主な資産クラス毎のパフォーマンス動向を確認しておきたいと思います。

主な資産クラスのパフォーマンス状況(2022年8月)

これまでと同様に、代表的な低コスト・インデックス投信であるeMAXIS Slimシリーズ(三菱UFJ国際投信株式会社)の価格動向を用い、各資産クラスのパフォーマンスを確認します。

以下、eMAXIS Slimシリーズにおける主要資産クラスの投資信託について、2022年8月のパフォーマンスを表示しています。

主要な資産クラスの2022年8月実績
主要な資産クラスの月間パフォーマンス(2022年8月)
※新興国債券クラスのみ、eMAXIS Slimeシリーズは存在しないため、eMAXIS新興国債券インデックスを用いています。対象として用いたemaxisシリーズについては、過去の記事をご参照ください。(参照記事:投資の考え方3-ポートフォリオ運用の資産クラス

続いて、各資産クラスの2021年初から過去2年間の動向を見てみます。
主要な資産クラスのパフォーマンス推移グラフ(2021年初~2022年8月)

2022年初からの動きをクローズアップします。
主要な資産クラスのパフォーマンス推移グラフ(2022年1月~8月)
特に先進国株式や日本株式クラスは8月後半にかけて戻り基調で、為替の円安の恩恵も受け、年初来プラス圏に浮上していました。しかし、8月26日のパウエル議長発言を受け市場は急落。結局これらの資産クラスも月間わずかなプラス、年初来横ばい水準まで下げて終わっています。

グローバル投資市場の主要指数の確認(2022年8月末)

続いて、主要な指数の現状確認をしておきます。

株式市場
指数2022年
8月末
変化
(月間)
変化
(年初来)
S&P 5003,955.00-4.2%-17.0%
Nasdaq11,816.20-4.6%-24.5%
東証TOPIX1,963.161.2%-1.5%
ドイツ DAX12,834.96-4.8%-19.2%
英国 FTSE1007,284.15-1.9%-1.4%
香港ハンセン19,954.39-1.0%-14.7%
上海株価指数3,202.14-1.6%-12.0%
Dow Jones31,511.09-4.1%-13.3%
日経平均株価28,091.531.0%-2.4%
東証REIT指数2,033.710.6%-1.6%

為替・金利市場
指標2022年
8月末
変化
(月間)
変化
(年初来)
米ドル円 為替レート138.965.77円23.88円
ユーロ円 為替レート139.753.66円8.93円
英ポンド円為替レート161.50-0.54円5.81円
豪ドル円 為替レート95.032.00円11.48円
ドルインデックス108.672.8913.07
米国10年国債金利3.20%0.54%1.68%
日本10年国債金利0.23%0.05%0.16%

商品先物市場
商品先物2022年
8月末
変化
(月間)
変化
(年初来)
WTI原油 (ドル/バレル)89.55-8.8%19.1%
(ドル/トロイオンス)1,726.20-2.1%-5.6%
(ドル/トン)7,802-1.5%-19.7%

  • 米国株式市場、S&P500は月間プラス7%、Nasdaqはプラス12%
    インフレのピークアウト感が一部で広がり、株式市場は8月半ば過ぎまで戻りを試す展開となりました。6月に年初来マイナス20%をつけたS&P500指数は、一時その下落分の半分を取り戻す場面もありました。

    ところが8月26日の米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長の想定外のタカ派寄り発言を受け、株式市場は急落しました。

    S&P500指数、Nasdaq総合指数はともに月間で4%を超える下落
    となりました。

  • 年初来プラス圏に一時浮上した日本株式も、ほぼ横ばい圏で終える
    欧米株式市場の戻りを受け、東証TOPIX指数、日経平均株価ともに一時、年初来プラス圏へ浮上しました。しかし、パウエル議長の発言後に急落、月間でわずかなプラス、年初来では小幅マイナスの水準で終えています。

  • 米10年国債金利は0.54%の大幅上昇、3.20%で終える
    月初に2.5%台をつけていた米10年国債金利ですが、早期の利下げ観測がしぼむにつ入れて上昇を続けました。パウエル議長の発言後は上昇ペースが加速し、月間で0.54%の大幅上昇、6月以来となる3.20%で終えています。

  • 為替市場、米ドルは米長期金利とともに上昇、138円で終える
    米ドル円為替レートは、8月初めに130円台をつけた後、米国長期金利の上昇にあわせるように円安が進みました。月末には7月14日以来の139円台の高値をつけています。

    欧州圏の景気後退の懸念から、ユーロ売りが止まりません。ユーロ米ドル為替レートは、2002年以来となるパリティ水準、すなわち1ユーロ=1米ドルを割り込んだ水準が定着しつつあります。複数の主要国通貨に対する米ドルの為替レート価値を表すドルインデックス(ドル指数)は上昇し、前月比2.9ポイント高い108ポイント後半で終えています。
  • リセッション入り懸念で原油は8.8%の下落
    世界経済の景気後退局面入りの可能性が意識され、商品市場は弱含んでいます。特に原油市場は需要の弱さが意識され、月間で8%下げ、WTI原油先物価格は引き続き下げました。6月に大幅安となっていた銅価格は4%安、WTI原油先物市場は1バレル90ドルを割りこんで終えました。

なお、8月の長期分散投資ポートフォリオの運用実績についてはこちらの記事をご覧ください。

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自己紹介

週に1~2日の働く、セミリタイア状態の50代男性です。

これまで国内外の株式、債券、ETF、投資信託、先物、FX、不動産など投資歴25年。2000年ITバブルで資産半減、その後2008年リーマンショックの大打撃も経験しました。

20代、30代のころにがむしゃらに働き、地道に資産運用を続けてきたおかげで、資産形成はある程度進みました。

今後の充実した完全リタイアライフに向け、長期目線で分散ポートフォリオ運用を継続中です。

投資スタンスについてはこちらをご覧ください。

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