グローバル運用市場は、米国の金融引締めに対する警戒やウクライナ情勢の悪化を受け、年初から軟調な展開が続いていました。2022年3月中旬になって、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米国経済に対して前向きな見通しを示したことや、ウクライナ情勢への警戒も徐々に和らいできたことから、反発に転じました。
3月中旬に一時、年初来マイナス12%程度まで下落していたS&P500指数や東証TOPIX指数は、3月末にはS&P500指数が年初来マイナス4.9%、東証TOPIX指数がマイナス2.3%の水準まで戻しています。
加えて、3月は為替市場で大幅に円安が進みました。米ドル円為替レートで6円以上の円安となったことで、円ベースでみた先進国株式や先進国REITなど海外資産クラスは年初来プラス圏まで回復しました。
ここでは、運用における主な資産クラスのパフォーマンスとグローバル金融市場の動向を確認しておきたいと思います。
主な資産クラスのパフォーマンス状況
これまでと同様に、代表的な低コスト・インデックス投信であるeMAXIS Slimシリーズ(三菱UFJ国際投信株式会社)の価格動向を用い、各資産クラスのパフォーマンスを確認します。
以下、eMAXIS Slimシリーズにおける主要資産クラスの投資信託について、2022年3月のパフォーマンスを表示しています。
※新興国債券クラスのみ、eMAXIS Slimeシリーズは存在しないため、eMAXIS新興国債券インデックスを用いています。対象として用いたemaxisシリーズについては、過去の記事をご参照ください。(参照記事:投資の考え方3-ポートフォリオ運用の資産クラス)グローバル投資市場の主要指数の確認
為替・金利市場
- 米国株式市場はプラス3%、年初来マイナス5%まで回復
米国株式市場は、米連邦準備理事会(FRB)の景気見通しに対する不透明感が払しょくされたことで、3月中旬以降、上昇に転じました。一時、年初来マイナス12%まで下落したS&P500株価指数は月末にはマイナス4.9%、年初来マイナス20%まで下落をみせたNasdaq総合指数は年初来マイナス9.1%まで急回復しています。
一方、ウクライナ情勢の地政学的影響をより強く受けるヨーロッパの国々の株式市場は、まだ安値圏での推移となっています。
- 日本株式市場もプラス3.2%と回復
東証TOPIX株価指数も3月中旬に一時、年初来マイナス12%水準まで下落しましたが、その後は大きく反転上昇し、年初来マイナス2.3%まで戻しました。 - 原油市場は大幅上昇、3月上旬に2008年以来の130ドル台をつける
ウクライナ情勢の緊迫を受け、世界第3位の原油産出国であるロシアに対する金融制裁が強化され、原油の供給懸念が更に強まりました。3月7日にはWTI原油先物価格で130ドル、北海ブレント原油先物価格で139ドルと、2008年以来の水準まで上昇しました。その後、各国の原油備蓄放出などによりやや落ち着きを取り戻していますが、依然として年初来3割以上高い水準にあります。
- 米国長期金利は大幅上昇、一時2.55%
米国におけるインフレが進む中、3月15-16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利上げや、5月以降の資産規模の縮小(QT)開始、2022年内の残り6回の利上げ、2.75%への利上げ見通しが示されました。パウエルFRB議長は、米国経済への楽観的な見通しを示す一方、インフレ状況等次第で利上げを加速する可能性を示しました。こうした中、米国長期金利は大幅に上昇し、3月下旬に米10年国債金利は、前月比0.7%以上高い2.55%を一時つけました。
- 為替市場は一時1ドル125円台まで大幅な円安進行
資源高に伴うインフレが進み、米国をはじめとして世界中の中央銀行が利上げに動く中で、日銀は金融緩和姿勢を継続しています。日米の金利差が一段と開くとの見方から円安が加速し、前月比10円以上円安となる1ドル125円台を一時つけました。
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