次回、2022年12月末基準日分の実施を最後に、株主優待が廃止されるJT日本たばこ産業[2914]から、今年分(2021年12月末基準日)の「株主優待のご案内」と、「株主優待制度の廃止に関するお知らせ」が届きました。
株主優待制度の廃止は、株主への公平な利益還元の観点から、配当による還元に集約することとにしたためと説明しています。
この記事では、今回の優待内容をご紹介し、あわせて、業績動向、株価の推移、配当金実績も確認しておきます。配当利回りが7%に迫る、超高配当銘柄であるJT日本たばこ産業への投資を継続すべきかどうか検討しておきたいと思います。
[2914]JT日本たばこ産業の2022年の株主優待制度
2022年分(2021年12月基準日分)の株主優待制度は、昨年までのものと基本的に同じでした。保有株式数に応じた優待商品の金額や、1年以上という継続保有条件も同一です。ただ、株主優待商品の選択肢が一部変更になりました。昨年は選択肢としてご飯のみのセット、あるいは、カップ麺のみのセットが選べましたが、今年は「ご飯・カップ麺セット」のみに統一されました。
2022年の優待商品(保有株式数が100株以上、200株以上の場合)
2022年の優待商品(保有株式数が1,000株以上、2,000株以上の場合)
現在の株価水準において、100株の保有で約1.1%の優待利回りとなります。
JT日本たばこ産業の株主優待制度の詳細、および、過去の実際の優待商品については、こちらの記事をご覧ください。
[2914]JT 日本たばこ産業の事業内容・業績動向
国内のたばこ需要が全体として減少傾向にある中、日本たばこ産業の収益は引き続き海外たばこ事業が引っ張っています。2021年12月期は、海外たばこ事業における強いプライシング効果と販売数量の増大によって、二けたパーセントの成長を達成しました。
2021年12月期の売上収益は前期比プラス11.1%の2兆3,248億円、営業利益も前期比プラス6.4%の4,990億円となりました。
国内においても、市場拡大が期待される加熱式たばこ事業への注力を続けています。半導体不足の環境下にもかかわらず、2021年12月期は当初見込んだ販売数量を達成しました。
2021年7月には、次世代グローバル共通モデルの高温加熱型の加熱式タバコ用デバイス「Ploom X(プルーム・エックス)」を、まず日本市場で発売しました。Ploom Xの好調な販売が貢献し、加熱式たばこの国内販売シェアは10.3%まで拡大してきました。
※日本たばこ産業の決算資料よりブログ管理人作成
2022年2月14日の決算資料公表ベースで、会社は2022年12月期の売上収益を前期比0.4%減、営業利益を前期比7.0%増と予想しています。
ただしその後、2月下旬に発生したロシアによるウクライナ侵攻が、日本たばこ産業の業績へ影響を与える懸念が高まっています。ロシアへの経済制裁によってロシア経済が混乱し、当社が有力市場とみているロシアにおける販売の落ち込みや、ロシアルーブル下落による収益目減り、また、ロシア子会社の有する製造工場などの操業停止リスクなどが懸念されます。
[2914]JT 日本たばこ産業の配当実績
[2914]JT 日本たばこ産業の株価推移
2016年以降の長期的な下落トレンドは、2021年の業績回復のおかげで、やっと終わりました。2020年6月に、このトレンド安値1,800円弱をつけた後、株価は2021年に上昇基調に入り、2021年12月には一旦2,400円台まで戻しました。
日本たばこ産業[2914]の株価推移(2020年1月~現在)
2022年に入ると揉み合い推移となりましたが、その後2月終わりに株価は急落、わずか1週間で10%ほどの下落を見せました。ロシアとウクライナの紛争問題がこの急落の原因です。日本たばこ産業は国別の販売比率を公表していませんが、先に述べたロシア関連の各種リスクが市場で意識された結果といえます。
2022年に入ると揉み合い推移となりましたが、その後2月終わりに株価は急落、わずか1週間で10%ほどの下落を見せました。ロシアとウクライナの紛争問題がこの急落の原因です。日本たばこ産業は国別の販売比率を公表していませんが、先に述べたロシア関連の各種リスクが市場で意識された結果といえます。
[2914]JT 日本たばこ産業の投資指標と今後の運用方針
2022年3月4日の株価 2,171.5円による投資指標
※日本たばこ産業の決算資料よりブログ管理人作成
日本たばこ産業はこれまで増配を続けてきましたが、2021年12月期は残念ながら減配となりました。なお、2022年12月期は若干の増配を予想しています。
ここ数年間、利益が鈍化してきているにもかかわらず増配を続けてきたこともあり、配当性向が70%~80%と高水準になってしまっています。2022年12月期も予想配当性向は約75%と高いです。利益の範囲内の配当ではあるものの、やや無理をしているような状態に近づいていると考えることもできます。
直近の株価下落を受けて、予想配当利回りは6.9%と極めて高配当となっています。優待利回りの1.1%が無かったとしても、とても魅力ある水準です。ただ、配当性向がかなり高いので、何かあった場合の減配リスクは相応に高いといえます。
減配リスクについて考えるために、仮に、適度な水準といえる配当性向50%の配当金100円を仮定してみましょう。この場合、配当利回りは4.6%となります。これでも十分高配当といえるので安心感につながります。
更に、前述のロシア・ウクライナ紛争問題により利益水が低下するリスクの考慮が必要です。仮に、利益が予想に対して20%と大幅減となり、さらに上記の50%配当性向を仮定すると、配当利回りは3.6%となります。まあ、リスクケースとして、そこそこ満足できる水準なのかなと思います。
日本たばこ産業:営業利益率・ROE・ROAの推移
※日本たばこ産業の決算資料よりブログ管理人作成日本たばこ産業の利益率水準を確認すると、とても高収益体質の企業だということが分かります。ここ何年か収益鈍化により低下傾向ではありますが、売上高営業利益率は20%超、自己資本利益率(ROE)は12%を達成しています。
今後の方針
業界としては逆風が吹くものの、海外市場における収益の拡大はまだまだ期待できると考えられます。高収益体質を維持しており、出遅れていた加熱式たばこでも新商品で巻き返しを図っています。
上記のようなリスクシナリオを考慮しても、今の株価水準に対して十分高配当であるといえます。また、収益の低下があったとしても、株価収益率(PER)等の投資指標的にも割高感はでてきません。
1年後に優待廃止となったとしても、今後の過熱式たばこのシェア拡大状況や海外たばこ事業の業績動向などを注視しながら、現状の配当スタンスが続く限り保有継続かなと思います。
<ご注意>
当サイトに記載の内容は、あくまで、管理人の個人的な見解に基づくもので、何ら特定の投資運用方針を推奨するものではありません。記載内容については、細心の注意を払い各種の公表資料等から作成していおりますが、掲載内容の適時性、正確性、有用性等に関して一切保証するものではありません。投資にあたり、万が一損害を受けたとしても一切責任は負えません。投資はあくまで自己責任でお願いします。
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