2022年に入り、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが早まるとの懸念が広がり、株式市場が大きく下落しました。2022年1月、米国Nasdaq指数は一時、前年末比15%超まで下落、東証TOPIXも9%に迫る下げを記録しました。
この混乱時、「恐怖指数」とも呼ばれるVIX指数も急上昇をみせています。この記事では、VIX指数について確認し、米国S&P500指数とVIX指数のこれまでの動きを振り返ってみたいと思います。
VIX指数「恐怖指数」とは
VIX指数は、Volatility Index(ボラティリティ・インデックス)のことで、先行き株価がどれくらい変動すると市場参加者が見込んでいるか、市場が見込むその変動性(ボラティリティ)を表している指数です。
VIX指数は米国の取引所(シカゴ・ボード・オプション取引所 CBOE)で取引されていて、株式市場の変動性(ボラティリティ)に対する期待値を数値化しているといえます。S&P500指数の変動率見込みを内包した株価指数オプションという金融商品の取引価格を用い、市場参加者の見込んでいる変動性(ボラティリティ)を観測しているのです。
株式市場の先行きの値動きが激しくなる、すなわち変動性が高くなる、と多くの市場参加者の見込んでいる場合、VIX指数は高くなります。逆に、市場の値動きが小さくなり膠着するとみている参加者が多くなると、VIX指数は低くなります。
VIX指数が高い状況は、株式市場が荒れていて暫くはリスクが大きい状態だ、と参加者が感じている環境だと言うこともできます。(市場リスクについてはこちらの記事もご参照ください。)
S&P500指数とVIX指数の動向
過去5年間のS&P500指数とVIX指数の動きをグラフで見てみます。上のグラフがS&P500指数の週次ローソク足、下のグラフがVIX指数の週足です。
S&P500指数が落ち着いた上昇トレンド、あるいは横ばい圏にあるような時期においては、VIX指数は概ね10から20までの間の推移です。
リーマンショック時期のS&P500指数とVIX指数
VIX指数をトレードに生かす
これまでみてきたように、VIX指数は市場参加者が株式市場の変動性をどの程度見込んでいるかという、市場のリスク心理を表しているといえます。そこで、VIX指数は、S&P500指数のトップ圏とボトム圏について、何等かのヒントを与えてくれる場合があるのです。
VIX指数が急騰を見せ、S&P500指数が急落後、VIX指数が下がりだすと、株式指数はボトムアウトしてくるようなタイミングとみてとれる場合があります。
逆に、S&P500指数が上昇後の揉み合い圏にあり、VIX指数が低位ながらも従前よりもやや高い水準推移となってきた際には、株式指数はトップ圏にあり、次第に下落に転じると捉えられる場合があります。
当然ですが、株価指数の水準感については、他の株価指標等と組み合わせての総合的判断となることは言うまでもありません。ただ、上のように何らかのヒントを与えてくれる場合もあるのです。
特に、長期投資家の場合には、長期的目線で株式市場の動向を掴むのに、VIX指数が役立つと思っています。長期目線であれば、ピンポイントでトップやボトムを掴む必要はありません。今後まだ下落の可能性はあるもののそろそろボトム圏に近付いたろうから購入エントリーしよう、などとの判断に使える訳です。
ハッピー・リタイア・ライフへ向けた我が長期分散投資ポートフォリオにおいても、2022年1月の米国株式、日本株式の購入にあたっては、VIX指数を大いに参考にしていました。
昨年ポジションを落とした分の今回の購入にあたっては、米国株価指数の動きをとらえるために、VIX指数を利用しました。VIX指数が一旦35を上回り、下落に転じてきたタイミングで、米国株式、日本株式、日本REITクラスの購入をすすめました。
(2022年1月の購入実績についてはこちらの記事をご参照ください)
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