投資の考え方1-基本はリスクをコントロールしてリターンを得ること

2020/12/10

投資の考え方

t f B! P L

ものスゴイ相場観を持ち合わせていて、これから上がるというタイミングで買うことができたり、そろそろ天井だというタイミングが予想できてうまく売りを入れる、あるいは、将来大きく成長する企業をうまく見つけて投資できる、というような一部投資家は実際にいると思います。 実際に周りにも、相場の動きをとらえるのがうまく短期売買でめちゃくちゃ稼いでいたり、長期的にも大きく化ける株などを見つけるのがうまい知人がいます。

だだ、このような投資家はごく一部であって、自分を含めた多くの一般の方はそのようなことは難しいのではないかと思っています。そこで、資産運用にあたり考えるべきは何かと考えると、やはり基本に戻り、いかにリスクをコントロールしてリターンを得ていくかが重要だことになるのではないでしょうか。

ここでは、自分自身の投資にあたっての考え方を、順を追って整理しておきたいと思います。

資産運用のリスクとは?

まずはじめに、資産運用のリスクとはなんでしょうか。投資の理論でいうリスクとは、リターン(収益)のブレ、すなわち収益の振れ幅の大きさを指します。やや分かりにくいので、イメージを示します。

資産運用におけるリスクの図解説明

上記の図では、時間が経つにつれての二つの金融商品の価格の推移を表しています。商品Aと商品B、いずれも平均的には同じリターン(収益率)で価格が上昇していってます。(=同じ傾きで価格が上昇しています。)しかしその過程で、商品Bの方が商品Aに比べてかなり大きく価格が変動し、従って収益率(リターン)が大きく変動していることがわかります。

この例の場合は、商品Aと商品Bとは平均的に同じ収益率ではあるものの、商品Bの方が商品Aよりリスクが大きいといえます。すなわち、保有していた場合に、商品Aの方が価格変動が大きく、収益率がより大きくプラスになったりマイナスになったりと振れ幅が大きくなっている状況です。金融の世界では、このようにリターンの振れ幅の大きさでリスクを表現します。

これを別の視点でみてみます。次のグラフは商品Aと商品B、それぞれの商品について、過去一定期間内におけるリターンの分布を表しています。リスクの大きさの違いよる資産運用のリターン分布

例えば、過去5年の間の、それぞれの商品の月次リターンの分布がどのようになっているか、というようなものです。商品Aの方が商品Bに比べてリターンがより平均近くに分布していて、リターンがあまりぶれていない様子が見てとれます。このような状況のとき、商品Aの方が商品Bよりもリスクが小さいと表現することになります。

投資のリスクはどう測る?

投資の世界でこのリターンのばらつき、リスク値は通常、標準偏差という統計値で表します。概念的に標準偏差とは、ばらつきのある個々のリターンの値が、平均的にどのくらいそのリターン平均値から離れているか(ばらついているか)を表したものになります。つまり、リターンがブレがどのくらいあったのか(あり得るのか)ということを示していることになります。個々のリターンの値と平均値との差を2乗し、それらを合計して平均をとった統計値が分散であり、分散の平方根(ルートをとったもの)が標準偏差になります。

投資の伝統的な考え方で、株式などの金融商品のリターンの分布は正規分布となると仮定して分析されてきました。リターン分布が左右対称の釣鐘型の正規分布だと仮定することで、期待される収益性が理解しやすいものになります。つまり、リターンが正規分布すると仮定した場合、将来のリターンが平均±1標準偏差の間で変動する確率は約68%平均±2標準偏差の間で変動する確率が約95%となるからです。

リターンとリスクの考え方、テールリスクの図解説明

例として、期待リターンが5%、標準偏差が10%と想定される商品の場合、リターンが正規分布に従うと仮定すると、リターンがマイナス5%(5-10%)からプラス15%(5+10%)の間で変動する確率は68%、マイナス15%(5-2×10%)からプラス25%(5+2×10%)の間で変動する確率は95%、となります。

実世界のリターンは正規分布しない!

実際にはリーマンショックをはじめとする過去の事例でも話題となったように、現実の世の中においては、分布の裾野の部分(上記の図で丸く囲った部分)の発生確率が正規分布よりも高い(現実世界では点線のようになる)ことが知られています。これは、100年に一度の事象が起こったなどと時折耳にすることがあるように、極端な事象が正規分布で示される確率よりもはるかに高い頻度で発生することを意味します。

こうした現象を、「ファットテール」(Fat Tail)であるなどと表現することもあり、また、このような分布の裾野の部分におけるリスクを「テールリスク」(Tail Risk)と呼んだりします。伝統的な金融の考え方でにおいては表現されていなかったテールリスクに対して、どのように対応していくのがよいかという点は、2000年代以降の金融機関におけるリスク管理のひとつテーマにもなっているような重要な論点です。個人の資産運用においても、頭の片隅に置いておきたいと思っています。


投資におけるリスクについての整理をしてみました。そのリスクをどうコントロールしていけばよいのかという点については、次回で続けたいと思います。

    投資の考え方2-リスクをどのようにコントロールするか?

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自己紹介

週に1~2日の働く、セミリタイア状態の50代男性です。

これまで国内外の株式、債券、ETF、投資信託、先物、FX、不動産など投資歴25年。2000年ITバブルで資産半減、その後2008年リーマンショックの大打撃も経験しました。

20代、30代のころにがむしゃらに働き、地道に資産運用を続けてきたおかげで、資産形成はある程度進みました。

今後の充実した完全リタイアライフに向け、長期目線で分散ポートフォリオ運用を継続中です。

投資スタンスについてはこちらをご覧ください。

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