2023年5月の市場動向を振り返る
米国では3月以降、金融機関の破綻などから金融システム不安が広がり、物価指標の下ブレなども受け、利上げ停止や一部には年内の利下げといった思惑が広がっていました。
5月に入ると状況は一転し、経済指標が景気の底堅さを示し、市場に広がっていた年内利下げ観測は急速に弱まりました。米連保準備制度理事会(FRB)による利上げが継続するとの見通しが広がって、長期金利は上昇しました。
長期金利の上昇に加え、米政府の債務上限問題の不透明感が嫌気され、米国株式市場は特に5月前半は軟調でした。5月下旬になると、バイデン政権と共和党との議論の中で債務上限問題の決着が図れそうとの見通しが広がり、米国株式は持ち直す展開となりました。特にハイテク銘柄の多いNasdaq総合指数は、ChatGPTなど生成AIが今後爆発的に普及する見込みもあり、堅調な推移となりました。
日本株式市場は、植田新日銀総裁による新体制においても金融緩和が継続されるという安心感が広がったことや、米国長期金利上昇に伴い円安が進展したことなどを受け、買い優勢の展開となりました。東京証券取引所の株価純資産倍率(PBR)1倍割れ企業に対する改善要請などもあり、昨年まで日本株式をアンダーウェイトとしていた海外投資家の資金流入も進んでいたようです。日経平均株価は1990年以来となる、平成バブル崩壊後の高値水準まで買われました。
2023年5月の各金融市場の動向確認
株式市場
S&P500指数、Nasdaq総合指数、東証TOPIX指数の2022年初来パフォーマンス比較
- 米国株式S&P500指数は月間で横ばい、Nasdaq総合指数はプラス5.8%
5月に入り、経済指標が景気の底堅さを示すようになると、広がっていた年内利下げ観測は急速に影を潜めました。米連保準備制度理事会(FRB)による利上げが継続するとの見通しが広がって長期金利は上昇、米政府の債務上限問題の不透明感も嫌気され、米株式市場は軟調な展開となりました。
こうしたなか、ChatGPTをはじめとする生成AIが今後爆発的に普及していくとみられ、半導体セクターなどハイテク銘柄への資金流入は加速しました。ハイテク銘柄の多いNasdaq総合指数は月間でプラス5.8%、年初来の上昇率は23.6%に達しています。
- 日本株式は月間プラス3.6%
欧米と異なり金融緩和が継続されるという期待感、米国長期金利上昇に伴う円安の進行、さらに東京証券取引所の株価純資産倍率(PBR)1倍割れ企業に対する改善要請などから、日本株式は堅調に推移しました。昨年まで日本株式をアンダーウェイトとしていた海外投資家の資金流入も進んでいた模様で、東証株価指数(TOPIX)は月間でプラス3.6%となりました。日経平均株価も1990年来となる平成バブル後高値を更新しています。
- 米国10年国債金利は、前月比0.21%高い3.65%
経済指標が景気の底堅さを示し、市場に広がっていた年内利下げ観測は急速に弱まりました。米連保準備制度理事会(FRB)による利上げが継続するとの見通しが広がって、長期金利は上昇しました、米国10年国債金利は一時3.8%台まで上昇し、前月比プラス0.21%の3.65%で終えています。
- 日本10年国債金利は 0.43%
4月末の植田新日銀総裁による初めての日銀金融政策決定会合後の会見で、金融緩和の出口への具体的な道筋の言及はなかったことで、市場には長期間の緩和継続観測が広がっています。日本の長期金利は0.43%へ小幅上昇しています。
- 米ドル円は3円の円安の139円台
米国の長期金利の上昇に伴い、米ドル高円安が進みました。米ドル円為替レートは2022年11月以来の140円台を一時つけた後、月間で3円円安、年初来は8円円安となる139円台で終えました。
続いて、主要な指数の現状確認をしておきます。
グローバル投資市場の主要指数の確認(2023年5月末時点)
為替・金利市場
主な資産クラスのパフォーマンス状況(2023年5月)
これまでと同様に、代表的な低コスト・インデックス投信であるeMAXIS Slimシリーズ(三菱UFJ国際投信株式会社)の価格動向を用い、各資産クラスのパフォーマンスを確認します。
以下、eMAXIS Slimシリーズにおける主要資産クラスの投資信託について、2023年5月のパフォーマンスを表示しています。
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