2023年2月の市場動向を振り返る
2月の米国金融市場ではインフレ動向に再び注目が集まりました。堅調な景気やインフレの高止まりを示す経済指標の発表が続き、1月とは反対に、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止が遠のくとの観測が広がりました。米国株式市場は2月後半にかけて調整色が強まる展開でした。
一方、欧州では、暖冬によって懸念されていた冬場のエネルギー不安が後退したことなどから、株式市場が堅調推移となりました。ゼロコロナ政策を終了した中国の景気回復期待も、経済的結びつきの強い欧州にはプラスに働きました。英国株式は過去最高値を更新、ドイツ株やフランス株も上昇が続きました。
日本の株式市場は膠着感の強い展開が続きました。米国市場の下落が重しとなる一方で、為替市場が円安に振れたことが支えとなりました。次期日銀総裁候補の植田和男氏が金融緩和継続の必要性を示したことなども安心材料となりまし。
米国における利上げ停止観測の後退は、米国長期金利の急上昇をもたらしました。米国長期金利の上昇により為替市場では円安が進展、米ドル円為替レートは136円台と2022年11月の水準となっています。
2023年2月の各金融市場の動向確認
株式市場
S&P500指数、Nasdaq総合指数、東証TOPIX指数の2022年初来パフォーマンス比較グラフ
- 米国株式S&P500指数は月間マイナス2.6%、Nasdaq総合指数はマイナス1.1%
インフレの高止まりが再び意識され、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ停止が遠のくとの観測が広がり、軟調な展開となりました。それでも、2022年末に大きき下落していたことから、年初来ではS&P500指数がプラス3.4%、Nasdaq総合指数がプラス9.4%と十分プラス圏内です。
- 日本株式は月間プラス0.9%
為替市場の円安進展がサポートとなった日本株ですが、米国株の軟調推移が重しとなって膠着相場が続き、月間では小幅高で終えました。
- 米国10年国債金利は月間で0.43%上昇し、3.9%台に
1月に大幅低下した米国長期金利は、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ停止が遠のくとの見通しが広がるにつれ急上昇しました。1月には一時3.4%を割り込んだ米10年国債金利は、前月比0.43%高い3.94%で終えています。
- 1月の金融政策決定会合で日銀は動かず
日本10年国債金利は、日銀の許容変動幅の上限である「0.5%程度」に貼りついた推移が続いています。次期日銀総裁候補の植田和男氏が金融緩和継続の必要性を訴えていることで、一時期より上昇圧力は和らいでます。ただし、植田氏も長期金利を一定水準に保つイールドカーブ・コントロール(YCC)政策の将来的見直しには含みを残しており、長期金利の低下はしにくくなっています。
- 米ドル円は6円以上の円安となる136円台
米国の利上げ長期化観測による米国長期金利の上昇を受け、為替市場では米ドル高円安が進みました。1月末には130円近辺まで下落が進んでいた米ドル円為替レートは、再び上昇し136円台となりました。
商品市場
WTI原油先物価格と金先物価格の2022年初来の推移グラフ(2022年初~2023年2月末)
- 原油価格は月間マイナス3.8%、金価格はマイナス4.8%
米国における利上げ長期化懸念、大幅な金利上昇、そして米ドルの上昇を受け、原油価格、金価格ともに下落しました。特に、地政学リスクの高まりやロシア・中国などによる外貨準備の金シフトなどによって1月に大きく買われていた金は、5%近い下落で終えています。
続いて、主要な指数の現状確認をしておきます。
グローバル投資市場の主要指数の確認(2023年2月末時点)
為替・金利市場
主な資産クラスのパフォーマンス状況(2023年2月)
これまでと同様に、代表的な低コスト・インデックス投信であるeMAXIS Slimシリーズ(三菱UFJ国際投信株式会社)の価格動向を用い、各資産クラスのパフォーマンスを確認します。
以下、eMAXIS Slimシリーズにおける主要資産クラスの投資信託について、2023年2月のパフォーマンスを表示しています。
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