ロシアによるウクライナ侵攻が長期化の様相を示す中、市場の関心は
- ・グローバルなインフレ動向
- ・インフレ率の高まりを受けた米連邦準備理事会(FRB)の利上げ姿勢
- ・ゼロコロナ政策によりロックダウンを続ける中国の経済情勢
インフレ率の高まりを受け、米連邦準備理事会(FRB)の積極的な利上げ姿勢が懸念された5月前半は、株安、米ドル高、米金利上昇が進みました。インフレ率のピークアウト感が意識されはじめた後半になると、株式市場は回復を見せ、ドル高も一服、金利も低下をみせています。
ここでは、運用における主な資産クラスのパフォーマンスとグローバル金融市場の動向を確認しておきたいと思います。
主な資産クラスのパフォーマンス状況
これまでと同様に、代表的な低コスト・インデックス投信であるeMAXIS Slimシリーズ(三菱UFJ国際投信株式会社)の価格動向を用い、各資産クラスのパフォーマンスを確認します。
以下、eMAXIS Slimシリーズにおける主要資産クラスの投資信託について、2022年5月のパフォーマンスを表示しています。
※新興国債券クラスのみ、eMAXIS Slimeシリーズは存在しないため、eMAXIS新興国債券インデックスを用いています。対象として用いたemaxisシリーズについては、過去の記事をご参照ください。(参照記事:投資の考え方3-ポートフォリオ運用の資産クラス)続いて、各資産クラスの2021年初から過去2年間の動向を見てみます。
2022年初からの動きをクローズアップします。
4月の反転上昇により年初からの下げ回復していた海外資産クラスが大きく売られ、再び年初来マイナス圏に沈みました。
米国の積極的な利上姿勢への懸念から、特に海外REITクラスが大きく調整しています。
グローバル投資市場の主要指数の確認
続いて、主要な指数の現状確認をしておきます。
株式市場
為替・金利市場
為替・金利市場
商品先物市場
- 米国株式市場、S&P500は年初来マイナス20%まで売られるも、下旬に回復
インフレ率の高まりから、米連邦準備理事会(FRB)のより積極的な利上げ姿勢が連想され、米国株式市場は5月中頃まで下落が進みました。S&P500指数は年初来マイナス20%、Nasdaq総合指数は年初来マイナス30%に迫る水準まで一時売られました。
5月後半になると、インフレ率のピークアウト感が意識されはじめ、FRBのタカ派姿勢も和らぐ期待が広がりました。これを受け、株式市場も値を戻しはじめ、S&P500指数は前月比横ばい、Nasdaq総合指数は前月比若干安で終えています。
- 日本株式市場は欧米株の動きにつられるも、相対的には底堅く推移
日本の株式市場も特に米Nasdaq市場の動きにつられて大幅に安くなる場面がありました。しかし、積極的な利上げ姿勢を見せる欧米の中央銀行とは異なる金融政策を日銀がとっていることもあり、日本の株式市場には相対的な底堅さがみられました。
米ドルベースで見ると相当に割安な水準にある日本株へは海外投資家の資金流入もあり、前月比プラス圏で終えています。
- インフレ率のピークアウト感が意識され、米国長期金利はやや下落
米10年国債金利は5月9日に3.20%の高値をつけた後、下旬にかけて2.7%台まで緩やかに下落、2.8%台で終えています。消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)などの前年比伸び率が前月より低下し、インフレ率のピークアウト感が意識され始めたことが背景です。
インフレ率のピークアウトが続けば、それまでタカ派姿勢を続けてきた米連邦準備理事会(FRB)の急速な金融引締め姿勢も和らぐことが期待されました。
- 為替市場では、米ドルが20年ぶりの高値をつける
米国のインフレ率の高まりから、米連邦準備理事会のより積極的な利上げ姿勢が連想され、5月上旬に米ドルがユーロやポンドなど主要国通貨に対して大きく上昇しました。
既に高値圏にあった米ドル円為替レートは揉み合い推移が続きましたが、複数の主要国通貨に対する米ドルの為替レート価値を表すドルインデックス(ドル指数)は2002年以来20年ぶりとなる105を5月13日につけました。
その後5月下旬に向け、インフレ率のピークアウト感も意識されはじめたことで、ドルインデックスもやや下落推移となっています。
- 原油市場は大幅上昇、一時3月以来の120ドル台をつける
ヨーロッパ連合によるロシア産石油の輸入禁止議論の高まりを受け、原油価格は5月下旬にかけて大幅に上昇しました。WTI原油先物価格は、ロシアによるウクライナ侵攻直後の3月以来となる1バレル120ドル台を一時つけ、前月比10ドル高い114ドル台で終えています。
なお、5月の長期分散投資ポートフォリオの運用実績についてはこちらの記事をご覧ください。
<ご注意>
当サイトに記載の内容は、あくまで、管理人の個人的な見解に基づくもので、何ら特定の投資運用方針を推奨するものではありません。記載内容については、細心の注意を払い各種の公表資料等から作成していおりますが、掲載内容の適時性、正確性、有用性等に関して一切保証するものではありません。投資にあたり、万が一損害を受けたとしても一切責任は負えません。投資はあくまで自己責任でお願いします。
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