2021年11月のグローバル金融市場の動向を振り返り、各投資資産クラスのパフォーマンスを確認しておきたいと思います。月中は全体として安定的に推移していましたが、月末近くに新型コロナウィルス・オミクロン株のニュースが伝わると、株式市場は大きく下落、為替は円高に振れ、原油も20%もの下落となりました。
グローバル市場の動向確認(2021年11月末)
2021年11月末時点の、グローバル投資市場-株式、金利・為替、商品先物市場の動きを振り返ります。
為替・金利市場
- 米国株式市場は横ばい圏で終える
米国株式市場は、11月初公表の米10月雇用統計の改善や、下院でインフラ投資法案が可決されたことなどを受け上昇、S&P500指数は一時前月末比プラス3%を超え史上最高値を更新しました。
しかし、11月下旬のオミクロン株ショック(オミクロン株感染の報道)により反転下落、S&P500指数は前月比マイナス0.8%、NASDAQ総合指数はプラス0.3%と、結局ほぼ横ばい圏で終えました。なお、S&P500指数と比べてハイテク銘柄が少なく、金融銘柄の影響も受けやすいダウ平均指数は、前月比マイナス3.7%と下落幅が大きくなっています。
- 日本株や欧州株は2~3%のマイナス
日本株は、大規模な経済対策が閣議決定されたことなどを受け上昇するような場面もありましたが、総じて頭の重い展開が続いていました。そうした状況下、11月下旬のオミクロン株ショックにより欧米株以上に下げました。11月26日以降月末までの間に5%を超えて下落、東証TOPIXは前月比マイナス3.6%で終えています。
次のグラフは、S&P500指数、NASDAQ総合指数、東証TOPIX指数の2020年以降の推移を比較しています。2020年3月の新型コロナウィルス感染症拡大以降の上昇力の違いもさることながら、直近のオミクロン株の感染拡大時の下落幅の違いも顕著にでていて、力強い米国株と弱い日本株の差がみてとれます。
S&P500、NASDAQ総合、東証TOPIX指数の推移
(2020年1月~2021年11月)
- 米国長期金利は大幅低下し、米10年国債は1.4%台
米連邦準備理事会(FRB)の次期議長にパウエル氏が再指名され、インフレが加速する中で、金融引き締めペースが速まる可能性が意識されています。米10年国債金利は月中1.6%台後半をつけていましたが、下旬にオミクロン株による不透明感が広がり、前月比0.11%低い1.46%となりました。
- 米ドル高が進むも、オミクロン株報道により米ドル円為替レートは113円台
米国のインフレへの警戒感が強まり、米ドルが上昇しています。パウエル議長の再任の方針が伝わると、米ドル円為替レートは11月23日に4年8ヵ月ぶりの115円台をつけました。他の通貨に対しても米ドルは強くなり、複数の主要国通貨に対する米ドルの為替レート価値を表すドルインデックス(ドル指数)も上昇、1年半ぶりの96台に突入しました。
ただし、11月下旬オミクロン株による感染拡大懸念が広がると円高が進展、米ドル円為替レートは113円台となっています。
- 原油市場はオミクロン株ショックにより20%急落
OPEC含めた産油国の減産体制は継続し、7年ぶりの高値水準をつけていた原油価格は、11月下旬のオミクロン株のニュースを受け急落しました。、WTI原油先物は前月比20%以上低い66ドル台となりました。
- 原油価格の下落を受け、豪ドル、カナダドルなどは大きく下落
原油価格の急落を受け、豪ドルやカナダドルなどの資源国通貨も大きく下落しています。豪ドルは月間で約5円、カナダドルは約3.5円の円高が進みました。
資産クラス毎のパフォーマンス(2021年11月)
続いて、各資産クラス別のパフォーマンスを確認しておきたいと思います。代表的な低コスト・インデックス投信であるeMAXIS Slimシリーズ(三菱UFJ国際投信株式会社)の価格動向を用います。
以下、eMAXIS Slimシリーズにおける各資産クラスの投資信託について、月次、および、年初来パフォーマンスをまとめています。
オミクロン株による経済情勢への懸念が広がり、日本株式をはじめ、日本REIT、新興国株式、新興国債券クラスはいずれも前月比4%前後のマイナスと振るいません。そのような中で、先進国株式は前月比ほぼ横ばいと輝いてみえます。
11月の長期分散投資ポートフォリオのパフォーマンスについてはこちらの記事をご覧ください。
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